老舗旅館の怠慢と再建

　福岡県の老舗旅館が大浴場の水の入れ替えを怠っていたという。水に流せないニュースである。旅館がそもそも問題だが、基準値をはるかに超えるレジオネラ属菌が検出されたのに、保健所はすぐに是正を求めなかったようである。保健所の姿勢の方が明らかに怠慢ではないだろうか。
　そこまで形骸化しているとなると保健所の検査に強制力がなく、再調査をして改善を確認すべきなのにそれを怠っていたのだから酷いものである。
　老舗に胡座をかいて安易な経営であったのは間違いないが、内部告発がなかったのにも驚かされた。行政指導が効かないのは、裏取引があったのではないだろうかと推測されても致し方ない事件である。
　それにしてもこの老舗をどのようにして再建するのだろうか、誰がするのだろうか、これだけ騒がれると廃業も考えられる。因みに大学生たちとのコラボで再生ともなれば、注目を浴びて再建の勢いが増すようにも期待される。
（おおくぼ・としき　千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事）