多様な学びの場を 不登校対策で文科相が協力者会議に検討方針
1面記事学校への過剰な期待に警戒感も
不登校対策を議論している文科省の協力者会議が14日に開かれ、永岡桂子文科相が「検討の方向性」を示した。
個々のニーズに応じた多様な学びの場の整備や、1人1台端末を使って児童・生徒の生活リズムの乱れに気付くことなどを求めた。ただ、有識者からは学校への過剰な期待を警戒する声も相次いだ。
検討の方向性は30万人とされる不登校児童・生徒の全てに学びの場を確保することや、心のSOSを見逃さず「チーム学校」で支援することなどの4項目を指示した。報告に向けての柱にするよう求めた。
学びの場の確保では、不登校特例校や教育支援センター、校内のサポートルームの整備を例示。それとともに不登校の子どものためのオンライン授業や、子どもが学校に戻りたいと思ったときに、クラスを変えたり、転校したりするなどの移動が認められる環境を掲げた。
学習端末を活用した子どもの状態の把握も求めた。心のSOSを見逃さない「チーム学校」での支援として、子どもの心の不安や生活リズムの乱れに教員が確実に気付くことができるようにすることを掲げた。
ただ、こうした方向性について、学校現場の委員からは厳しい意見も相次いだ。
徳島県の公立小学校の安田哲也校長は「チーム学校による支援などは、学校現場にゆとりがなければ充実するのが難しく、個々の教員に頼ろうとすると『ブラック化』が進み、悪循環になる」として人や予算の改善を求めた。
名古屋市の公立中学校の原和輝校長は「四つの方向性に違和感を持った。いま学校がさまざまな方法を考えながら取り組んでいる中、学校を応援するようなメッセージでなければ受け入れにくい」と訴えた。
協力者会議は3月中に報告をまとめる。
永岡文科相が指示した検討の方向性
・30万人の不登校の児童・生徒全ての学びの場の確保する
・心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する
・学校を「みんなが安心して学べる」場所にする
・不登校を科学的に把握する