自ら人生の選択を「ライフコーチ」が高校で講演
2面記事都立上水高校で講演するみつはしさん
子どもの頃、親から虐待を受けて育った経験を持ち、現在は、コーチングの手法で生き方について相談に乗るなどしている女性が2日、東京都立上水高校で生徒を対象に講演を行った。主題は「自分の人生を生きてる?」。講師のみつはしあきこさんは、過去の経験を語った上で、自分の強みを見つける方法などを披露。自分が人生を選択することの大切さについて語るなどした。
3人の子どもを育ててきたみつはしさんは、東日本大震災をきっかけに、コーチングを学び始めた。現在は、ライフコーチとして相談に乗っている他、「中高生の心を開く専門家」として、講演活動を行っている。上水高校での講演は今回で3回目。今回は、文科省児童生徒課の職員らも話に耳を傾けた。
講演によると、みつはしさんは幼少期、虐待と孤独に苦しんだ。アルコールに溺れた父親に夜間、酒を買ってくるよう指示され、暗闇の中で集合住宅の階段に座り込んで、帰れないことも。家の中では、父親から逃れるために、押し入れに隠れる生活も送った。
この経験からみつはしさんは、誰も孤独にしない社会をつくる、誰もが自分の人生を生きることを目標にライフコーチとして活動するようになった。
この仕事に出合ったきっかけは、東日本大震災だった。明日の生活が当たり前でなくなったとき、自分のやりたいことをやろうと考えた。ライフコーチの仕事に興味はあったが、時間もお金も自信もない状態にあった。当時、小学生だった息子の「お母さん、やりたいことはやった方がいいよ」という言葉が背中を押してくれたという。
夢の実現までの体験を一通り語ったみつはしさんは、「一番の親孝行は親が望む人生を送ることではない。自分を好きだと思って生きる人生を選択してほしい」と、将来を考える高校生を励ました。
自分の強みを見つける方法としては、「自分らしさが分からなかったら逆を考えるといい。これだけはやりたくないことを考えるといい。自分らしくないときはどんなときかを考えると、必然的に、自分の好きなこと、自分らしさが見つかることもある」などと話した。
講演冒頭で生徒に、「あなたは誰を主語にして生きているか。主語を自分以外の誰かに置いて行動を選択していないか」と問い掛けたみつはしさん。子どもの頃は、自分以外の誰かを主語にして生きてきたという。
講演の締めくくりに当たっては、「人は自分と会話しているといわれる。自分と会話して決めている」「自分のことを好きだと思っても一生一緒にいる。嫌いだとしても一緒。どちらがいいか。自分で選べるよ。ここから先、好きになることはできる」といった言葉で結んだ。