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コロナ疲れを防ぐ、感染症予防機器の導入~子どもや教職員の安心感を高め、教育活動を継続するために~

13面記事

施設特集

長寿命化改修と併せて計画的な整備を

コロナ禍の3年を経て、ウィズコロナとして向き合う
 学校における新型コロナウイルスの感染対策は、現在「第8波」が流行している中でも、手洗いやアルコール消毒、検温、マスクの着用など個人でできる基本的な感染予防と3密(密閉・密集・密接)回避の徹底が図られている。しかし、初めて新型コロナウイルス感染症が流行してから約3年が経ち、子どもたちはもとより教職員にもストレスの蓄積や疲労感といった「コロナ疲れ」がより顕著になる中で、学校現場がウィズコロナとして向き合う、新たなフェーズへと移っていく必要があるのも事実だ。
 とりわけ、季節によって流行を繰り返してきた新型コロナウイルスへの対応は、国や行政の方針がはっきりと定まらないケースが散見されてきた。文科省も、そのつど基本的対処方針の変更を発出しているが、例えば給食時における黙食の緩和や登下校中のマスクの着用廃止も、現在のように再び流行した場合はまた元に戻すのかなど、学校がその対応に苦慮する事象も見られる。
 すなわち、「先の見通しが立たず、いつになったら収束するのか」「いつまで同じような感染対策を続ければいいのか」という不安や不満に対して、そろそろ明確な回答を出すべき時期を迎えているといっても過言ではない。

CO2モニターで教室内の換気を「見える化」
 こうした中、子どもや教職員の感染症予防への安心感を高め、学校が教育活動を継続していくための対策として考えられるのが、学校の室内環境における感染リスクを低減し、クラスターの発生を抑制する衛生関連機器の導入といえる。ただし、導入にあたっては、これ以上教員に負担をかけさせない、人の手を借りなくても感染予防効果が期待できる機器を選ぶことが大事になる。また、そのためにも、これまでの3年間で得た知見を活かし、感染症予防に役立つ技術や道具を賢く活用していくことがポイントになる。
 その意味で最初に挙げるのが、室内の二酸化炭素濃度を測定できるCO2モニター装置だ。現在、学校の教室では感染リスクを下げるためにこまめな換気が行われている。だが、二酸化炭素含有率で望ましいとされる1000ppm相当を環境として維持しているかどうかを体感で測ることは難しく、寒暖期など冷暖房が必要な季節にも求められているため、感染症以外の健康面や学習にも支障が出ることが危惧されている。
 その中で、CO2モニターを活用すれば、いつでも十分な換気ができているかを把握することができ、教員の手間や不安を解消することができる。しかも、いちいち数値を確認しなくても、機種によっては二酸化炭素濃度によって緑・黄・赤のLEDランプで教えてくれる、アラームが鳴って警告する、職員室などから集中管理できるものもある。つまり、二酸化炭素濃度の「見える化」によって、日々の教室の安心感を高め、適切な換気が確実に実行できる点が魅力になっている。
 加えて、これまでの学校におけるCO2モニターによる実証では、放課後の多くの教員が集まる職員室における二酸化炭素濃度が高いことが分かっている。したがって、教員の感染リスクを下げ、余計な不安を解消するためにも、今後は職員室等にも配備することも視野に入れておくべきだろう。なお、こうした効果があることから、CO2モニターは「学校等における感染症対策等支援事業」等で補助対象となっている。
 ほかにも教室等の換気対策としては、高い換気能力を備えた空調設備や空気清浄機、換気力を強めるサーキュレーターも効果的であり、体育館などは熱中症対策として導入した大型扇風機を活用する方法もある。また、気温が低く空気の乾燥が進む冬季はインフルエンザを含め、さまざまな感染症のリスクも高まり、集団感染への警戒がより必要になることから、天井埋め込み式や据え置き式の加湿器の導入をもっと進めるべきといえる。

教員の負担を軽減する紫外線照射装置
 毎日の手作業による消毒作業が教員の負担となっている中で、感染予防に貢献する機器としては、人体に無害な紫外線を照射してウイルス・細菌を不活化させる紫外線照射装置がある。同装置は光が当たった浮遊するウイルスだけでなく、モノの表面に付着したウイルスも除菌できるため、学校のような多くの人が集まり、手が触れる設備や機器が存在する場所に適した技術となっている。特にオミクロン株以降は、空気中を浮遊する細かい粒子によるエアロゾル感染が指摘されていることからも、こうした技術を利用して人の手による負担を最小限に抑え、感染リスクを軽減していくニーズが高まっている。
 すでに大学病院をはじめとする多くの医療機関の診察室や待合ホール、大学・高等学校の外来者の出入りが多い受付などに設置が進められており、今後は学校の音楽室や放送室、トイレなど密閉空間になりがちな場所への導入が期待されている。

自動水栓化や抗ウイルス・抗菌加工を進める
 さらに、学校の生活空間における衛生環境対策としては、ここ数年、急ピッチで改修が進められているトイレの洋式化に加え、手洗い場の自動水栓化を併せて実施する自治体が多くなっている。加えて、人の手で常に消毒作業を行うには難しい、教室壁・扉、トイレ扉・床など接触機会が多い物質表面に、抗ウイルス・抗菌コーティングを施工するケースも増えている。
 このような設備は、現在の財政基盤に余裕がない自治体が一朝一夕に整備できるものではないが、集団感染リスクが高い学校現場では、これからも引き続き感染症への対策が重要なテーマになるのは目に見えている。むしろ、今後10年に1度は新型コロナウイルスのような新たなウイルスが世界的に流行するともいわれているほどだ。だからこそ、感染症予防を長寿命化改修の重要アイテムの一つとして捉え、今から計画的な整備をしていくことが望ましいといえる。
 今年の冬は季節性インフルエンザとの同時流行が危惧されていたが、すでに都心部を中心にその兆しが表れており、本格化を迎えるシーズンに向けて予断を許さない状況となっている。しかも、もともと学校にとって冬季はノロウイルスや小児に多いRSウイルスなど、さまざまな感染症が頻発しやすい時期でもある。
 だが、これまでの学校における感染症対策は、あまりにも人の手や努力だけに頼りきっていた。その空いた穴に加え、少しでも負担を解消して学校全体の安心感を担保するのが各種衛生関連機器の導入といえる。

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