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一刀両断 実践者の視点から【第258回】

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恋愛のもつれと教育

 福岡市で元交際相手から刺された女性が亡くなった。これは防げた殺人なのか。防ぐ事は出来なかったのか。防止は困難であったとする意見は多い。これにAIでのセキュリティを活用してはという提案もある。是非やって欲しかった対応である。
 加害者への接近禁止命令が防御にはならなかった。恋愛のもつれは恨みに変わり命をも奪い去るという残忍な事件に発展してしまうことが多い。
 そうならないために、予防や自己コントロールの仕方を学校でなぜ教えないのだろうか。家庭でというならどのような家庭教育をすべきなのだろうか。親がこうした話をできる環境を作れるのだろうか。
 理想論ばかりを並べて家庭が大切と力説する人がいる。核家族で個別の部屋もあり一家団欒もやりづらくなっている現状を前にした理想論だと思える。そうした理想論を掲げる人には少年刑務所で講話をさせてみてはどうだろうか。
 親育をするのなら小学校段階からすべきであって、親になってからでは遅い。人を愛してもそれが続かない時の気持ちの整理の仕方などを具体的に教え考えさせて訓練をする必要はないのか。その必要性を認めない学者がこうした事件を容認しているとは言えないか。
 警察の権限を強めるのも一つだが、個人の動きを掴むのには限界がある。ならばこそAIを活用する動きを即刻導入するべきではないだろうか。増税論議はその後でいい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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