3300人で「いじめ防止サミット」小・中学校全学級に生中継
1面記事グループ討議で意見を交わす小学生と高校生=17日
東京・福生市教委
東京都福生市教委は17日、全ての市立小・中学校の児童・生徒が、いじめ問題について一斉に議論する「いじめ防止サミット」を開いた。市役所で児童会・生徒会の会長らが議論する模様を市内の全学級に生中継。その上で各学級では、いじめ対策について児童・生徒が話し合った。参加者総数は約3300人。市役所内の主会場では、市内の高校で学ぶ生徒が「議長」を務めた。
同サミットは平成27年度にも実施。今回は、情報通信環境の整備が進み、代表の児童・生徒の議論を全員が同時に視聴するとともに、各校で話し合った内容は画面上で共有した。
主会場には、全10校の市立小・中学校それぞれを代表する児童・生徒が顔をそろえた。加えて、市内にある都立福生高校と都立多摩工業高校から計4人の有志生徒が同席した。
前半は、いじめが疑われる場面を描いた動画を視聴。各校代表の児童・生徒が、いじめに当たるかどうかなど、その場面に関する意見を述べ合った。「私たちは、勇気をもって友だちに悩みを相談します」で始まる同市のいじめ対策宣言についても意見を交わした。
代表の児童・生徒の間では、いじめに当たるかで意見が分かれ、いじめ対策宣言を巡っても、守りやすい項目とそうでない項目に関して、さまざまな声が上がった。
代表となった児童・生徒はあらかじめ、発言内容を書き留めておき、進行役の高校生の発言に応じて挙手して、自分の考えを述べた。
後半は、各校の各学級で、いじめを防ぐための方策を出し合った。主会場では、4グループに分かれて各学校で何ができるかを話し合った。集団遊びの場を充実させて、児童・生徒が互いのことを知る場面を増やしてはどうかなどの意見が出た。「勝ち負けがなく、協力できる遊びがいい」などと応じる声もあった。
各校での取り組みを互いに紹介し合うグループもあった。係活動として「クイズ係」を設け、給食の時間に、プレゼンテーションソフトで出題しているなどの話が出た。
各グループでは、高校生が1人ずつ進行役を務め、小・中学生の話を引き出していった。多くの小・中学生は進行役の高校生に向かって自分の考えを披露した。
グループ討議後には、各校代表の児童・生徒が順に感想を述べ合った。
「いじめではないと思っていたことが他の人はいじめだと考えていた。考えが深まった。こういう場が増えるといい」(福生第二小学校代表)など、意見の多様性に触れたことについて話す児童・生徒が目立った。