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ウクライナ危機から考える「戦争」と「教育」

15面記事

書評

日本教育学会 国際交流委員会 編
平和構築のため果たすべき役割とは

 令和4年3月に行われた日本教育学会・国際交流委員会主催のセミナーを基に、その後の討論、補足の論稿を合わせて書籍化されたもの。世界の現実を知り、教育の意義、役割を再考する上で興味深い。
 ウクライナのように盛んに報道される地域以外でも、紛争、難民などの問題は現にある。日本にいると切迫感を持ちにくいが、決して本や画面の中だけの話ではない。
 本書によると、世界では、日本のように戦争の悲惨さを伝える平和教育はあまり行われておらず、多くの地域では平和教育といえば民主主義教育なのだそうだ。われわれは、平和と民主主義との密接な関係を再認識すべきなのだろう。
 ひとまず大規模な衝突が終わった後も、土地には地雷や不発弾が数多く残っている。もしも一緒にいる友達が地雷を踏んでしまった場合の対応として子どもたちに教えるのは、決してその場を動かず、大人が近くを通るのを待ち、警察や軍隊に連絡してもらうという「地雷回避教育」だ。こんな過酷な、まさに命を守るための教育が現実になされている。
 本書でも述べているように、教育は平和を実現する万能薬ではない。だが、日々の教育活動の質を高めていくことが平和の実現につながるという側面は間違いなくある。平和は自然に与えられるものではなく、格闘してつくり上げていくものだ。
(1980円 教育開発研究所)
(浅田 和伸・前国立教育政策研究所長)

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