「科学五輪」の年 もたらすものは
1面記事小林 幹長 日本教育新聞社社長
謹んで新年のお喜びを申し上げます。
コロナ禍が始まり、全国一斉の学校休業があった年に入学した中学生、高校生も間もなく卒業となります。
マスクが手放せず、行動制限を受ける中、学校現場では、教職員をはじめとする関係者のご尽力により、学びを保障し、いよいよ送り出す時期となりました。この間のご苦労に心より敬意を表します。
昨年は、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、世界の秩序が大きく揺らぐ年となりました。日本の学校教育においても、避難民の受け入れなど、国際情勢の変化に追われました。世界中の紛争が一刻も早く終結することを願いつつも、予想のつかない社会の中で生き抜く力を育むことは、日本の教育者に求められていることの一つといえるでしょう。
今年は、5月に、先進主要7カ国の教育大臣会合が富山県と石川県で行われます。2000年に東京で行われた教育大臣会合に参加したロシアは招かれず、国際情勢の変化がこの会合にも表れます。
しかし、教育は、全世界の子ども、大人に開かれたものでなければなりません。平和を構築し、維持するために、教育の力が今、求められています。今回の会合が実り多いものとなることを期待します。
また、国際物理オリンピックが日本で初めて開かれます。国際数学オリンピックも日本で2度目の開催となります。
物理、数学を含む「STEAM教育」の推進は日本でも重要な課題であり、初等中等教育から高等教育までさまざまな工夫が重ねられてきました。今回の両オリンピックの開催により、世界から、優れた才能を持つ生徒が一堂に会し、日本の学校教育にも刺激を与えることでしょう。
高校生世代に焦点を当てたこれらの国際科学オリンピックは、2年前に東京で行われたオリンピックとは違ったレガシーをもたらすに違いありません。
4月には、こども家庭庁が発足します。今まで以上に、家庭、地域、そして子どもたちに焦点を当て、子どもたちの未来のために応援していきます。
そして、今年「創刊77周年」を迎える日本教育新聞は、いつの世も変わらない教育の本質を見失うことなく、同時に、目まぐるしく変化する時代の中、教育は「国家百年の大計」であるという視点を忘れず、唯一の教育専門全国紙として、的確かつ充実した紙面を皆さまにお届けすることに努めてまいります。