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一刀両断 実践者の視点から【第240回】

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拙著への反応

 拙著の「辞めない社員の育て方」(時事通信社)が好評を得ているらしい。大変うれしくもありそのニーズが高いことを示しているのだろうと推測している。
 ことの発端は「人は会いたいと思える人であるかどうかにある」と感じているからである。学校も会社もましてや家族もそうだからではないだろうか。夫婦でも会いたいと思わなくなれば関係性は悪くなり別居や離婚に発展する。
 全国の建設関係者が集まる会で基調講演を先輩から依頼された時に付けたテーマである。その後数回このテーマで講演をする機会を得ていたところ、時事通信社から取材並びに本の出版の打診を頂く事になったのである。何度も読者の視点で役立つように全てノンフィクションで読みやすくまとめて頂き、そのプロの執念と編集力に驚いている。
 この本を私は大学で担当する8科目の教科書にしている。当初は馴染まないかもと思ったが、学生から驚愕の自己開示が始まった。そこまで言えるのかと内面や心情を吐露する赤裸々な感想を超えた体験発表が毎回繰り返されているのである。それは全て映像に残したい程のレベルであり、何故そこまで学生が開示できるのかと編集者に聞いたところ、それは先生自身が脚色なく素直に自己開示を本の中でされているからですよと教えて頂いた。
 確かにそうかもしれないと納得した。学生を自ずと自己開示へと導く強烈な引き出す力を秘めた教科書として学生や教員や社員など対象者はかなり広いはずである。是非本当かどうかをそれぞれのお立場でお試し頂きたいと願っている。
 付け加えると、真逆の「辞めさせ方」も書いている。それも後日感謝をされる辞めさせ方である。これもすべてやってきた事実である。人は別れても好きな人でありたいものである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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