教師たちのとっておきの言葉
13面記事諸富 祥彦・大友 秀人・会沢 信彦 編著
力与え、与えられたエピソード
教師は、いろんな気持ちを抱える子どもと言葉を交わす。その言葉が相手の心に届き、力となるよう、自分を磨きたい。
本書は、小・中学校、高校、大学で教育実践を重ねてきた34人の教師の忘れ難い言葉を収録したもの。
(1) 子どもとの間で活きた言葉
(2) 保護者との間で活きた言葉
(3) 同僚・管理職との間で活きた言葉
(4) 自分の人生を支えている言葉
―の4章から成る。その時の状況、相手の心の状態、自分の置かれた立場などによって活きる言葉は異なってくる。
108のストーリーには、カウンセリング心理学の知恵を背景としているものもあるので、困っている子どもや保護者、同僚などへの対応の仕方を学ぶこともできる。
子どもとの間での「あなたを信頼しているから、任せるよ」「先生の仕事は、きみのいいところ探しだよ」「その悩みOKだよ」「先生は違った。先生は、いつも一緒にいてくれた」。保護者との間での「今は心の栄養を補いましょう」「不登校になって、自分の心を守ったんですよ。一緒に褒めてあげましょう」「先生のふわふわ言葉がたんぽぽの綿毛のように広がって、あっちこっちで賑わうといいですね」等々の言葉。
事象に対する自分の捉え方や使う言葉に偏りがあることにも気付かせてくれる言葉磨きの書。子どもも保護者も多様化しており、カウンセリングを学ぶためにも薦めたい。
(1980円 図書文化社)
(大澤 正子・元公立小学校校長)