養護教諭のためのスキルアップガイド
12面記事中村 富美子 編著
多忙な職場で職務深化へヒント満載
新人期は「目の前の救急処置で精一杯」、一人前期になると「救急処置をしながら周りの子どもに声をかける」、ベテランは「ケガが起こる原因を予測し未然に防ぐ」。「救急処置」を例に取りながら示した進化・深化する養護教諭の行動である。ただ、「経験年数を重ねれば、自然にスキルアップするわけではない」「単に歩いていればベテランにたどり着けるわけ」でもないという。
養護教諭の多くが一人職場、しかも多忙な業務に向き合いながら、どう技術や力量を高めていくのかのヒントを一冊に詰め込んだ。
1日の業務を示しながら、「一人前の養護教諭にはなかったベテラン養護教諭の行動」を「自立的かつ臨機応変」「潜在している課題を見出す」「他者を巻き込む(協働する、上手に使う)」の三つのポイントから説明する「Part1」には、目を見開かされる。ベテランの一つ一つの行動には意味があることがよく分かる。
「Part2」は、保健室経営、救急処置、健康診断、健康相談、環境衛生、疾病予防・管理、安全管理、保健教育、保健組織活動、ケースマネジメント、自己研鑽の11の職務別に「スキルアップのヒント」を提示する。
執筆者らは学び続ける養護教諭や養護教諭経験のある大学教員。編著者が主宰するスキルラダー研究会(SLIPER)メンバーだ。直面する困難な現場を乗り越える知恵に満ちている。
(1760円 明治図書出版)
(矢)