法務相談体制、自治体で差 専門弁護士、市区町村は1割
2面記事文科省が教委調査
いじめや虐待、学校への過剰な要求などに対応する教育委員会の法務相談体制の整備について、文科省が調査結果を公表した。弁護士への相談体制の整備には地域差が大きく、市区町村の教育委員会では、自治体の顧問弁護士が対応しているケースが多いことが分かった。
文科省が昨年度、全国の教育委員会に対して行った調査によると、教育行政を専門とする弁護士への相談体制があるのは都道府県でも8割程度。市区町村では1割だった。相談体制がないと回答した教委のうち、今後新たに整備を検討しているのは都道府県で20%、政令指定都市は60%で、市区町村では1割に満たなかった。
自治体間での差が大きい理由として、文科省の担当者は「自治体の規模が大きくなるほど相談も多くなり、相談体制の整備の必要性があるからではないか」と見ている。今後は、都道府県が域内の市区町村を支援する体制の整備を推進していくとしている。
相談体制を検討していない教委では「自治体の法務全般に関与する顧問弁護士で十分に対応できている」という理由が目立った。予算や弁護士の確保が難しいとの回答もあった。
教委の法務相談を巡っては、文科省が今年3月、第2版の「手引き」を公表している。「手引き」では教委が法務相談体制を設ける上での留意点や、弁護士が関わった相談事例などを載せている。