授業で参考にしたい「STEAM教育」ウェブサイト
9面記事授業で1人1台端末を活用し、理数教育に創造性教育を加えた「STEAM教育」を進めるには、インターネット上にある無料の動画教材や学習用のコンテンツを活用することも視野に入れたい。そこで、理科や科学をベースにさまざまな社会課題と関連付けるなど「STEAM教育」に取り組むために参考となるウェブサイトを紹介する。
SDGsなど社会の諸課題に向き合う子どもの姿を配信
経済産業省「未来の教室」が運営する『STEAMライブラリー』は、STEAM教育を通じて社会課題の解決手法を学べる教材がそろっており、子どもの興味関心に応じたコンテンツが検索できるようになっている。
中学校向けでは植生遷移シミュレーションゲームを使って、生徒が試行錯誤しながら生態系の多様性について学べる「森と炭素固定」。高校生向けでは水問題に向き合うことで、SDGsの目標の一つである国を問わず普遍的なものであることを理解する「水と人類」などがある。
NHKの『ドスルコスル』では、社会の諸課題とそれに向き合う子どもたちの姿を動画で配信している。理科関連では「こうする! 未来の電気を守ろう」がある。ここでは、人々の豊かな暮らしを支えている「電気」を未来まで守りたいと考えた愛知県岡崎市立新香山中学校の2年生が、地域の人々に節電を呼びかける活動を紹介。「どうする? エネルギーのこれから」では、電気に関わる問題を考えることをテーマに、エネルギー資源のほとんどを海外から輸入している現状や、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーのさまざまな問題を取り上げている。
STEAM教育の魅力を伝えるメディア
ウェブメディア『STEAM JAPAN』では、学校、家庭でできる実践事例の紹介やレポート、イベント、ニュースまで、国内外におけるSTEAM教育に関わる最新の情報を発信している。また、企業人や研究者、クリエイター、アーティスト等をSTEMアンバサダーとして登録して学校現場に派遣したり、ワークショップの企画・開催や教員研修を手がけたりと、公教育にSTEAM教育の魅力を伝える活動に力を入れている。さらに、2020年からは「自ら課題を設定し、アイデアをカタチにして解決していく」中高生を表彰する取り組みとして「STEAM JAPAN AWARD」を立ち上げている。
文科省と科学技術振興機構が作成した『SSH卒業生・活躍事例集』では、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校の卒業生にインタビューを実施。先進的な科学技術、理科・数学教育で培った知識や経験を土台に、大学・企業等で研究者や技術者として活躍する卒業生の様子を取りまとめて報告している。
たとえば、高校のときに太陽電池の課題研究に取り組んだ研究者は、「その経験とアイデアが現在の研究にも生きている」と話す。また、化粧品会社で基礎研究に取り組む研究員は、「仮説を立て、実験を行い、その結果を考察して次の実験につなげるといった研究の基本的な流れを教えてもらった。大学の助教授は他校に通う同級生と比べても圧倒的に実験の機会が多かった印象があり、さまざまな実験ができておもしろかったことは今でもよく覚えている」と振り返っている。
社会で役立つプログラミング技術を学ぶ
また、プログラミング教育で参考になるサイトでは、『日産わくわくプログラミングスクール』(日産自動車(株))は、交通事故ゼロを目指していくために生まれている、安全運転支援技術や未来の自動運転についての考えや仕組みを小学校高学年から学べる動画コンテンツを配信している。
文科省の『学校と地域でつくる学びの未来』では、授業で使える企業の教育プログラムを各種テーマから検索できるようになっている。理科の実験で参考になるものでは、紙ヘリコプターを題材にして、高品質なものづくりの仕方を分かりやすく楽しく体験できるプログラム。自然科学をわかりやすく説明することから、「何故」を考え「確かめる方法」を「計画」し、「実験」してみるプロセスを体験してもらう出前授業の情報なども掲載されている。