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教育県岡山の復活に向けて 全国学力テスト下位から上位への飛躍と「夢育」の実現

12面記事

書評

高見 英樹 著
知・徳・体とともに非認知能力育む

 岡山県では平成24年から、「学力向上」を県政の一丁目一番地の施策に掲げ、全国学力・学習状況調査で「全国10位以内」となることを目指して、さまざまな改革が行われてきている。
 本著は、10の章立てで、教育県岡山復活に向けた挑戦として、「学力・体力向上」「非認知能力育成」「不登校・スマホ対策」「GIGAスクール構想」「withコロナ」などの課題解決に向けた取り組みが、教育委員会組織全体での推進体制と絡めて述べられている。
 著者が文科省から同県教育庁に出向していた2年間で、前述のようなさまざまな取り組みを行ってきたが、その中でも子どもたちの非認知能力を育成するための「夢育」の推進を新たな教育施策として掲げた。この「夢育」は、「自分と向き合う力」「自分を高める力」「他者とつながる力」そして「地域とつながる力」の四つに分類され、育成したい非認知能力として整理し、「知育」「徳育」「体育」の概念との整合性を取り、4本柱として学力を伸ばすこととした。この「夢育」が、「学びに向かう力、人間性等」の育成に関連が深いものとして力を入れている点に大変興味を覚えた。学力向上に大切なことを、校長のリーダーシップ・学校経営力、学校内の授業研究風土の確立と捉え、そのために教育委員会の学校訪問体制の改革が重要であると本著は述べている。
(1980円 悠光堂)
(中川 修一・東京都板橋区教育委員会教育長)

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