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算数文章題が解けない子どもたち ことば・思考の力と学力不振

12面記事

書評

今井 むつみ・楠見 孝・杉村 伸一郎・中石 ゆうこ・永田 良太・西川 一二・渡部 倫子 著
つまずき原因見取るテストの開発

 「今日楽しみなことは何?」と入学したばかりの小学1年生に問うと「国語!」「算数!」と屈託なく答えてくれる。それが学年を経るにつけ「算数が一番難しい」「文章問題は、意味が分からない」と子供に言わせてしまうのは、なぜなのか。教師は、テストで子供の学習のつまずきの「箇所」を把握し、それを補うために計算の手順や知識の補強を繰り返しトレーニングさせてきた。しかし、授業を聞いても理解できない、テストで間違い続けることは、高学年になると、自分はどうせできないという「学習性無力感」を持たせ、文章題を白紙で提出させてしまう状況を生んでしまう。
 著者らメンバーと広島県教委のチームは、学力の伸び悩む子供が、学ぶ内容を理解するために必要な前提知識と認知能力をどこまで持っているのかを、低学年のうちにつまびらかにするテスト「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」を開発した。
 前者は言語力の、後者は思考力のアセスメントである。本書は、その開発の経緯と具体的な問題例、分析結果が報告されている。著者らは「小学生のつまずきの原因」として五つのカテゴリーで7点を示すとともに、家庭における学びの環境についても言及する。広島県教委HPでも、県内の小学校が開発した支援の具体例を「参考資料」として示している。
(2420円 岩波書店)
(重森 栄理・広島県教育委員会総括官(乳幼児教育)(兼)参与)

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