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教育裁判事例集 裁判が投げかける学校経営・教育行政へのメッセージ

14面記事

書評

佐々木 幸寿 著
争点や紛争化の過程を解説

 スクールロイヤー・神内聡氏は、弁護士や研究者の多くは、学校で違法なことが起こりやすい背景として、教師が法律や子どもの人権について十分理解していないためだと考えていると指摘していた。
 確かに現場の教員に、どの程度の法律知識があるだろうか。採用選考に当たり教育法規の勉強はするが、教員になってから学習する機会は少ない。一方で保護者が弁護士を連れて学校にクレームや要望を訴えるケースも多発している。学校はあまりにノーガード状態である。今、教員が理解すべきことは、教育活動において、どんな点が争点となり、どのような法的結論が下されたかである。
 本書では代表的な教育裁判の事例を確認することで、「(1)法的争点が見える (2)紛争化の過程が見える (3)法的状況の変化が見える」としている。著者の思いは「教育への思いや志を、どのように法令運用に生かせばよいのか」(週刊教育資料 令和4年6月20日号)ということだ。
 いじめ防止対策推進法制定や障がい者への合理的配慮、児童虐待増加など、法的状況は大きく変化している。裁判事例を学ぶことで、教育関係者は法令の解釈・運用と自らの役割との関係を理解することができる。
 各学校では、教員のリーガルマインド(法的思考力)育成のため、本書を活用して職員会議や校内研修でケーススタディーを実施することが望ましい。
(2750円 学文社)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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