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やっぱり学校っていいな コロナ禍の2年・子どもたちの生活と表現

14面記事

書評

日本作文の会 編
詩や作文から子どもの切実な声

 令和2年2月27日、安倍晋三首相(当時)は、新型コロナウイルス感染症予防のためと称して、全国の小学校、中学校、高校、特別支援学校等に対して一斉休校を要請した。子どもや教師の頭越しに強行された政治的パフォーマンスは、学校現場に大混乱をもたらし、子どもの学びは著しく阻害されることになった。緊急に対策を立てる必要に迫られた教師も、学校に行けないわが子を見守る保護者も、苦労の連続であった。
 本書は、このような異例な事態と、2年以上にわたって続いているコロナ禍で、学校教育において何が起こり、そして、何が求められているのかを子どもの詩や作文を通して明らかにしたものである。
 子どもたちが書いた詩や作文からは、彼らの切実な声が響いてくる。詩や作文をつづり、それを学級の中で読み合い、さらに互いの意見を交わしていく。そうしたプロセスを通じて、子どもたちの声に込められた強い願いが共有され、生活現実の中に存在する矛盾や問題点が明確化されていく。時には、教師自身も、子どもたちと同じような悩みや不安を感じつつ、子どもの声に耳を傾けるのだ。
 コロナ禍で、子どもたちは学校の良さを再認識した。同時に、学校の問題点にも気付き始めた。学校が真の学びの場になるには、子どもの声をもっと大切にしなければならない。
(1600円 本の泉社)
(都筑 学・中央大学名誉教授)

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