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日本の教育、どうしてこうなった? 総点検・閉塞30年の教育政策

14面記事

書評

児美川 孝一郎・前川 喜平 著
研究者と元官僚の本音トーク

 1980年代半ばの臨時教育審議会以降の日本の教育政策の展開について、教育研究者の児美川氏と元文部官僚の前川氏の本音トークに大いに興味をそそられ、いろいろと考えさせられた。
 特に、インサイダーとしての前川氏の実名入りの情報提供や見方から、教育というものが、いかに政治や経済や社会の影響を受けるか。そして、教育政策や行政のプロセスが、いかにもろもろの力学で紆余曲折を余儀なくされるのかを改めて学んだ。また、「『言うべき人が、言うべきことを、言うべきときに言う』ことがいかに大事か」という言葉を聞いたことがある。実際その通りだが、その困難さや、「言う」には覚悟がいることも身に染みている。しかし、今も次から次に発出される教育施策について、冷静かつクリティカルに教育委員会や学校を含め現場が上げるべき声を上げていく必要性を感じた。
 本著は、学習指導要領の性質や教員の人事考課の価値、教員免許更新制の問題点、教員の働き方改革に絡めての給特法や部活動改革、特別支援教育の在り方、教員志望者の激減、資質・能力論等々、現在、学校教育で大きな話題・課題となっている事柄について、その誕生から今後の方向性まで二人の対話形式で大変分かりやすく述べられている。読者がさまざまに考えるきっかけを十分に与えてくれる。
(1760円 大月書店)
(中川 修一・東京都板橋区教育委員会教育長)

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