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栽培キットを活用してリアルな体験をする

10面記事

企画特集

講座受講の様子

 一般社団法人全国農協観光協会が実施する「日本農業検定」は今年で10年目を迎え、これまでに2万人以上が受検した。同検定では、「農業全般」「環境」「食」「栽培」の4分野の基礎的な知識を3級から1級まで段階的に学べ、中学校の理科・社会・家庭科などの単元の学習に役立てることができる。
 学校では、中学校・高校・特別支援学校・大学などで活用され、中学校では生物育成の授業の振り返りや部活動、委員会の活動成果として受検されている。また、特別支援学校では農業コースに通っている生徒が授業の振り返りとして受検し、日本農業検定のテキストを授業の教材としても活用している。

短期間で栽培できる農検栽培キット(トウミョウ)
 農検栽培キット(トウミョウ)は現在、中学校の技術家庭科の生物育成の補助教材として活用されているもの。季節を選ばず、短期間で簡単、省スペース、失敗が少ないと販売当初から好評を得て、年間約25000個販売している。
 この栽培キットは、牛乳パックやペットボトルを再利用して栽培するため、リサイクルにもつながる。種まきから収穫、実食までが約2週間でできるため、時間数の少ない栽培の授業でも完結することができる。キットには教師用のCDやワークシートも付属しているので、これらを参考に授業を組み立てることもできる。

栽培キットを使用して育てたトウミョウ
栽培キットを使用して育てたトウミョウ

育てて食べよう!トウミョウ栽培教室
 農検栽培キット(トウミョウ)を活用したトウミョウ栽培教室は主に東京都内で未就学児・小学生を対象に不定期に開催されている。
 今回は6月19日(日)の食育の日に合わせ、埼玉県内にて栽培キットを使用した栽培体験や野菜に関するクイズを通して、食べることの楽しさや大切さを学ぶ講座が開催され、5組14名が参加した。
 講座は5部構成で行われた。
 1部は、自分たちが住んでいる県の農業事情について知り、その後自分たちが住んでいる地域の農業について深堀りをしていった。その中で、地産地消についても学び、地域での取り組み、地産地消の消費者のメリットと生産者のメリットなども学んだ。
 2部はトウミョウについて、原産国やどんな花が咲くのか、成長すると何になるのかなど写真やクイズなどを多く用いて学び、3部は栽培キットを使用した工作に移った。近年、子どもたちが土に触れる機会が減っている。
 栽培キットも水耕栽培の物が多く販売されているが、幼少期は土に触れることで、五感が最大限に刺激され脳の発達を促進する効果があるという。そのような背景もあり、農検栽培キットは「土」に触れる機会を少しでも作りたいという思いが生きた、土を使用したキットとなっている。
 作業にはハサミやカッターを使う場面があるため、未就学児や小学校低学年が参加する場合は、親子での参加を必須とした。作業を進めていくと、自分たちが飲んだあとの牛乳パックやお茶のペットボトルで栽培ができると驚きの様子だった。
 4部は食農クイズを実施。野菜の花などの写真を見せて「どんな野菜ができるのか」や「野菜の旬」について参加者全員で考えた。本来、食材が一番よく出まわり、味の一番よい時期が「旬」だが、今ではスーパーに行けばいつでもおいしい野菜が手に入るため、保護者が答えに悩む場面も多く見られた。そのほかに、普段食べている野菜をいくつか挙げ、葉・花・実・茎・種・根のどの部分を食べているのかというクイズでは、保護者からも驚きの声が聞こえた。
 5部では、野菜に悪さをする虫(害虫)について学び、簡単な振り返りテストを行った。最後参加者は子どもの顔写真と名前入りの「のうけんKids博士認定書」の発行をその場で受け、約2時間の講座を終えた。親子で農業の現状を学び、身近な食べ物や環境についても考える機会となった。

親子でキットを使用した作業に臨む参加者
親子でキットを使用した作業に臨む参加者

聞かせて!みんなのアイデア!「農検栽培コンテスト」
 同協会は学校での部活動や委員会活動などの成果発表の場となればという思いで「農検栽培コンテスト」も実施している。今年度で5回目となり、過去の参加校では伝統野菜を育て、日々の成長や、取った実の数、重さを細かく記録したり、ICTを活用した農場への見学なども実施したグループがあった。
 このコンテストでは、栽培の記録だけでなく、「SDGsと農業の関わり」「地産地消の利点と身の回りで行われている地産地消について」「若い人にも農業に興味をもってもらう方法」など大きな問いが約3問用意され、それぞれのチームで考えをまとめる。
 今回は小学校・中学校・特別支援学校(中等部・高等部)が対象。応募は日本農業検定ホームページにてエントリーシートを入手後、次の問い合わせ先まで送付のこと。

 問い合わせ=農検栽培コンテストHP https://nou-ken.jp/contest/

日本農業検定3級にチャレンジ!
Q エダマメについての説明で、正しいものは次のうちどれですか。
 (1) ダイズの実を未成熟な状態で食用とする野菜がエダマメである。
 (2) エダマメは暑さにも寒さにも強い作物である。
 (3) エダマメの根には、空気中の二酸化炭素を取り入れてエダマメに供給する根粒菌が付いている。

A (1)
 エダマメは未成熟な状態で収穫した大豆を食用とする野菜で、耐暑性は強いが低温には弱く、日当たりを好む。エダマメの根に付いている根粒菌は空気中の窒素を取り入れ、エダマメに供給している。

問い合わせ=日本農業検定事務局 Tel03・5297・0325

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