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全国SLA通信 新しい教育を拓く学校図書館【第1回】

4面記事

関連団体・組織

校長は学校図書館長

学校図書館は教育目標の実現の場

 「校長は学校図書館の館長です」というとかなりの人が戸惑いの表情を浮かべます。
 校長には対外的なことから教育行政とのかかわり、児童生徒指導、教職員への目配り、地域との連係等々多くの役割があり、それら全ての総責任者だからです。その中に学校図書館の館長も含まれます。
 学校における「校長先生」は絶大な人気を誇っています。校長には学校図書館長として積極的に運営にかかわるとともに、「校長先生」として「学校図書館」と子どもたちを結びつける影響が期待できます。
 卒業間際、「給食の時の朗読おもしろかったです。いままでありがとうございました」こんな手紙を受け取った校長がいます。コロナ禍で黙食を強いられ、学校図書館の利用も制限されたなかで、校長が給食の時間に校内放送で、読み聞かせをしたことへの感謝の言葉です。
 この学校の目指す学校像は、「学ぶ喜びを感じる学校」「居場所がある学校」「安心で安全な学校」です。
 休み時間は来客等がない時には、校長室で読み聞かせがあります。廊下に本を置くと、子どもたちが学年問わず校長室に誘われるように入っていきます。何度も繰り返される中で、自分でも本を持ってきたり、自ら読み聞かせする子どもが現れました。
 読み聞かせした本や読んでほしい本を階段の踊り場に置いたりして、本や活字に触れる機会も増やしました。
 校長は今ある学校の現状を見るだけでなく、学校が目指すものを常に見据えなければなりません。
 学校図書館の館長として、学校図書館ができることは何かのヒントがここにあります。
 学校図書館の利用制限の中、館外に本を置くことで身近に活字に触れ「学ぶ喜び」を保障し、校長室での読み聞かせや読書で「居場所」「安心や安全」を与えました。職員からも取り上げてほしい本への要望や時間帯への希望が出てきて、学校全体に読書活動が浸透していきました。学校図書館の館長として、学校が目指すものを踏まえた活動が理解を呼んだのです。読書活動推進と教育目標の達成は別々ではありません。学校が目指すものを各部署がどう具現化していくのかを教職員に投げかけるのは、校長だからできることです。
 学校全体を見て、学校の教育目標、目指す子ども像をいかに作り上げていくか、その中で学校図書館はいかにあるべきか、校長の学校図書館の館長としての姿勢はここにあります。
(神奈川県大和市教育委員会学校図書館スーパーバイザー・守屋明美)

校長は、学校図書館の館長としての役割も担っており、校長のリーダーシップの下、学校経営方針の具現化に向けて、学校は学校種、規模、児童生徒や地域の特性なども踏まえ、学校図書館全体計画を策定するとともに、同計画等に基づき、教職員の連携の下、計画的・組織的に学校図書館の運営がなされるよう努めることが望ましい。

学校図書館ガイドライン(文部科学省)より

INFO 毎週1クラス、校長が読み聞かせ

 本校では、朝読書の時間が組まれている月曜日を中心に毎週1クラスずつ、校長が読み聞かせをしている。
 おすすめの1冊を、全学年に向けて1年間読み聞かせする校長もいれば、各学年に合わせた選書をして、読み聞かせする校長もいる。
 自分の好きな1冊として、『かたあしだちょうのエルフ』(おのきがく 文・絵 ポプラ社)を全クラスに読み聞かせを行った校長がいた。また、学年に合わせて、学校司書に相談しながら選書をし、6冊選んだ校長もいれば、低学年向け、高学年向けの2冊を読み聞かせした校長と、それぞれ工夫して選書をした。
 読み聞かせ後、どんな本を読んだのか、学校図書館に掲示物を作り、本と一緒に飾っている。
 子どもたちのために本を選び、教室で目の前で読み聞かせしてくれることは、子どもたちにとって、貴重な体験となっている。いつも読んでくれる担任や学校司書とは違った忘れられない1冊になっているのを感じている。今後も続けていきたい読書活動であり、まだ行っていない学校はぜひ取り組んでもらえたらと思う。
(千葉県市川市立菅野小学校司書教諭・齊藤千津)

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 公益社団法人全国学校図書館協議会
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 東京都文京区春日2―2―7
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※本稿の記事は月刊「学校図書館」に掲載したものをもとにしています。

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