企業の無料コンテンツ「1人1台」に生かそう
7面記事現場の要望などを踏まえて作成した問題
GIGAスクール構想により、子どもたちに1人1台端末が配布されて2年目を迎えた。学校現場をサポートする企業の支援も進んでいる。授業のねらいや内容などに合わせ、学びの充実を図る上で効果的に活用したいところだ。無料で利用できる2社のコンテンツについて紹介する。
計算ドリルで反復練習 「速さの問題」など分野別に
地元の暮らしを支えるIT活用の推進コンサルやシステム開発などの事業に取り組む、山のむこう社(大垣敬寛・代表取締役、山形県南陽市)が開発したのは「GIGAスクール計算ドリル」だ。算数・数学の計算問題の反復練習ができるサービスになっている。紙と違い、何度も挑戦できて解いた瞬間に正誤判定が出るため、学習効果が高いのが大きな特徴の一つ。日々多忙な教員にとって印刷や配布、答え合わせの時間を短縮できるというメリットもある。
「たし算」「九九」「速さの問題」など、分野別に問題を掲載。同社は地元自治体からGIGAスクール端末活用支援事業の委託を受け、学校現場とも意見交換を行っている。教職員からの要望などを踏まえ、希望の多かった分野順で問題を作成した。
きっかけは、「体の障害があり書くことが難しい子がいる。キーボードであれば打てるため、端末で計算問題ができないか」という相談を受けたこと。端末のコンテンツなどに関する調査を行った上で、このサービスを開発したという。
「GIGAスクール計算ドリル」で扱っている問題は、レベルによって制限時間や回答数、難易度が分かれている。解答が終わると、時間内にどの程度の問題が解けていたかを表示。子ども自身が自らの弱みを認識し、復習に取り組むこともできる。特別な契約は必要なく、ウェブサイトにアクセスするだけで簡単に使用することができる。
現在、解答データの保存機能を開発中だ。どのくらいの達成度なのか、早く解けるようになったのかの分析も表示されるようにしていく。子どもたちがより楽しく取り組めるよう、全国ランキング(計算の速さ)などの機能も追加する予定だという。
問い合わせ=Tel0238・33・9610
「自己紹介」「地域PR」…動画作成ツールを提供
独自のAI技術を開発し、コンテンツテクノロジーを持つオープンエイト社(高松雄康・代表取締役社長兼CEO、東京都渋谷区)。動画作成ツールを無料で提供している。学級活動などの特別活動や総合的な学習の時間を中心に活用することができそうだ。
学校向け無料プランには、「自己紹介」や「地域PR」などを充実させるテンプレートが備わっている。文字を打ち換えて写真や動画をアップロードして配置するだけで、オリジナル作品を簡単に作成することができる。子ども向けの操作説明の動画マニュアルもあり、教員の負担も少なくなりそうだ。
例えば、自分たちの住む地域の良さなどを伝えることができる「地域PRテンプレート」。全都道府県のシルエットがあり、それを活用して特産品や有名な観光スポットを紹介することができる。また、「SDGsテンプレート」も特色の一つ。持続可能な社会の実現に向け、子どもができる身近な取り組みなどがある。それを写真や動画、テロップなどにし、リポート形式でまとめられる動画テンプレートになっている。
この他、クラスやグループ単位で動画編集を協働しながら行えるチーム機能もある。作成途中の作品を確認した上で必要なアドバイスができたり、進捗状況を管理したりすることもできる。
申し込みは、学校所属の教職員が行う。必要事項(「所属する学校名」「学校の所在地」「役職名と名前」)を明記の上、メールでの問い合わせが必要になる。