大学生が放課後学習支援 首都・関西圏の高校などで
1面記事男子学生(左端)から問題の解説を受ける高校生たち=5月25日、光栄VERITAS中学校・高校
企業、プログラムを提供
首都圏や関西圏の高校や中高一貫校で、大学生や大学院生による放課後学習支援が広がっている。東京大学家庭教師サークルを母体に設立されたトモノカイ(東京・渋谷区)が行う事業で、4月からはベネッセコーポレーション(岡山市)やClassi(東京・新宿区)と連携し、生徒の学習データを活用したプログラムの提供を始めた。ICTを活用した個別最適な学びを進め、教員の放課後の負担を軽減する狙いがある。
トモノカイは平成12年に設立。現在、約23万人の大学生らが登録しており、家庭や学習塾などに派遣している。
高校の放課後学習を支援する「学習メンタープログラム」は約50校が導入している。各校の課題に合わせて年間カリキュラムを作り、学生が校内の教室で生徒の自習をサポートする。
4月から始めたプログラムでは、ベネッセコーポレーションが扱う模擬試験や学力テストなどを学校が実施し、生徒の学習課題や学習姿勢についてデータを作成。そのデータをClassiが分析し、教員や生徒、トモノカイが派遣する学生と単元別の教材や効果的な学習方法を共有する。
導入校の一つである千葉県松戸市の光英VERITAS(ヴェリタス)中学校・高校では、月曜日から土曜日に放課後学習を行い、平日には9人の大学生を派遣している。同校では、1対1で教えてもらう教室や気軽に楽しく話す教室、集中して自習する教室と、環境を三つに分けて実施する。200人近くの生徒が利用する日もあるという。
同校出身で東京学芸大学2年の天野優純さんは「学習メンター」の一人。「教員志望なので学校で生徒と触れ合える貴重な機会になっている」と話す。
同高校2年の大熊ゆうあさんは「自分と年齢が近い大学生には質問しやすい。分かるまで徹底的に教えてもらえてうれしい」。大友祈和さんは「入試を終えたばかりの大学生から受験の情報が聞けて進路に役立っている」と言う。
大野正文副校長は「大学生の支援も活用しながら、生徒の学力を高めるとともに、主体的に学習に向かう生徒を増やしていきたい」と話している。