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伝え方で180度変わる!未来志向の「ことばがけ」

16面記事

書評

宇野 弘恵 著
エピソード交え具体的に提示

 本書を読みながら改めて実感した。教師の指導の生命線は、ことばがけの質になると。著者は本書の執筆の意図を、「まえがき」で明確に示している。
 <本書は「こう言えば学級や子どもを思い通りに動かせる」ということばがけの本ではありません。教師のことばがけにより、子どもが未来に向かって自分で歩みを進められるようにすることを目指した本です>
 そして著者は、「『ことば』は思考の幅を決める」「感情を支配する」など「ことば」観を8点にわたって理論化する。教師なら、まずここを読んで、日々の仕事の中で自分のことばがけの実態をメタ認知することである。
 残念ながら対子どもとの関係で、不祥事を起こす教師が後を絶たない。その大半は著者が本書で主張されている「ことばがけ」の未熟さがもたらしているといえよう。
 本書がさらに有益なのは、具体的なことばがけをエピソード風に紹介し、そのポイントを分かりやすく示していることである。それも、一つ一つの事例をScene、Thinkに分け、著者の実践を「ことばがけエピソード」として具体的な対応を示す。最後には、まとめのPointまで書く。
 著者の並々ならぬ、いわば教室教育学に読者は圧倒される。これは必読書である。
(2046円 明治図書出版)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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