オーリキュラと庭のはなし
14面記事前田 まゆみ 作
椎名 麻美 デザイン
主人公のプリムラ・オーリキュラの花は、たくさんのきょうだいと一緒に農園で育った。心の中ではいつも「毎日同じ事ばかりでつまらない。どこかへ行きたいな」と思っていた。春を迎えたある日、大きな町の花屋に連れてこられる。生まれて初めて経験する「ひとりぼっち」。その後、おばあさんに買われ、庭に植えられた。
庭では、先に植えられていたイチゴやローズマリーから、「どんな果物になるのか」「どんな料理に使われるのか」などと存在意義を問われる。オーリキュラは、「わたしは、わたし。この、きれいな花がわたしよ」と答えた。
それからさまざまな出会いをし、やがて庭を手入れする人がいなくなり、荒れ果てていく。その時、気付くのは深い愛情の中で暮らしていたということだ。
主人公の成長物語。
(1650円 アリス館)
(Tel03・5976・7011)