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埼玉・公立小教員の残業代訴訟、東京高裁で控訴審始まる

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 教員の時間外労働に残業代が支払われないのは違法だとして、埼玉県の公立小学校の男性教員が県に未払い賃金約242万円の支払いなどを求めた訴訟は東京高裁に審理の場が移った。原告側は教員の長時間労働の現状に対し、公平・公正な判断を行うよう訴えた。県側は棄却を求めている。第1審で原告の請求は棄却されている。
 原告の田中まさおさん(仮名)は10日の意見陳述で、「一般の労働者や国立・私立の学校教員が勤務時間外に働けば労働と認められ、通常は残業代が支払われる。なぜ公立学校の教員だけが無賃で働かされるのか。不公平だ」と語った。
 その上で、「私たち教員には時間外勤務に対して選択の自由がない。それにもかかわらず、教員に自主的労働を求めることは『強制労働』に当たる」と話した。
 控訴審後の報告会で、高橋哲・埼玉大学准教授(教育法学)は「民間の労働裁判では、時間外労働が認められたならば対価が支払われるのが当たり前だ。今回の裁判は本来のルールに基づいた法律判断を求める裁判になっている」と指摘した。
 一連の訴訟は、校外実習や職員会議など「超勤4項目」に当てはまらず「自発的行為」とされてきた業務も、労働時間に当たるのかどうかを初めて問う裁判。昨年10月1日のさいたま地裁判決は、労働基準法の規制を超えた労働があったと認めた上で、長時間労働が常態化しているとはいえないなどとして、原告の請求を棄却した。

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