学校からの支払いに「ネットバンク」導入など 文科省が働き方改革事例集を改訂
1面記事改訂版事例集のうち、「教員業務支援員」について紹介したページ
文科省は2月25日、「学校における働き方改革事例集」を改訂し、公表した。令和2年度版を基に、令和3年度の取り組みを加えた。学校から業者への支払いの際、インターネットバンキングを導入し、37・5時間の節約につながった事例などを収録している。
この事例集は文科省がホームページで公開している。昨年3月に初めて作成した。
インターネットバンキングを活用した学校では、これまで、支払いが発生するたび、業者を学校に呼び、その場で現金を渡していた。家庭からの集金は、口座振替とした。
この結果、1・5時間分の業務が年間で25回、削減できたとしている。
課題としては、家庭による支払いを口座振替としたことを挙げた。振り替えができない家庭などには、個別で対応することが必要となった。
改訂版では、冒頭で、3校に焦点を当て、それぞれの取り組みを詳しく紹介した。
このうち、千葉市立加曽利中学校は教員業務支援員(スクールサポートスタッフ)の力をうまく生かした。全国的には、配置されても、適切に仕事を割り振れないという課題が指摘されている。
事例集によると、同中学校には、平成30年度に配置が始まった。当時の生徒の母が、その任についた。
業務の内容は、市教委が一覧にして示した。
・印刷
・仕分け
・入力・事務業務
・コロナ対策等
―の4分野で、それぞれ「宿題」「郵便」「アンケート」「消毒」などとより具体的な業務を挙げている。多い業務は印刷だ。
勤務は週に4日でそれぞれ午前8時30分から午後3時30分まで。出勤するとまずは、教頭から業務依頼書を受領する。業務依頼書には締め切り日設定があり、教員業務支援員は、手持ちの依頼書を含めて、その日の業務を決めていく。おおむね、前日までに受領した依頼書の処理に当たるという。
印刷室の隣にある事務室には教員業務支援員のデスクを用意した。
同中学校を含め、冒頭で焦点を当てた3校の様子は事例集とは別に動画でも紹介した。文科省のYouTubeチャンネルで公開している。
2月25日には文科省が「学校における働き方改革フォーラム」をオンライン形式で開催。この事例集に収録した学校の教職員らによるパネル討議などがあった。加曽利中学校の教員は、同中学校には2台の印刷機があり、部活動指導が終わってからの印刷作業には待ち時間があったことを紹介。教員業務支援員が着任してからは、授業時間内に印刷を担ってもらうことで放課後の時間を有効に使えるようになったなどと話した。
このフォーラムに寄せられた「教員業務支援員をうまく活用していない学校も多いと聞く」という声に対して、文科省の担当者は、「他の学校と比較できないため、イメージが湧かないのではないか」などと述べ、事例集の活用を求めた。このフォーラムの模様も動画サイトで公開している。