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教育DXで「未来の教室」をつくろう

16面記事

書評

GIGAスクール構想で「学校」は生まれ変われるか
浅野 大介 著
単なるICT化で終わらぬために

 3年ほど前の経済産業省の提言で、「未来の教室」「EdTech」「教育DX」といった言葉についての認識はあったものの、具体的なイメージをつかめずにいた。その旗振り役である浅野氏の著作を手に取り、「一般化できるのか」と自問自答しながら、ある意味、批判的に序章を読み進めた。
 しかし、著者の言う「一律・一斉・大量生産型」「自前主義・純血主義・形式主義」の日本の教育を、GIGAスクール構想が開始された今こそドラスチックに変革するうねりを起こす必要性や、全国でのさまざまな実践モデルの展開例に触れ、いつの間にか身を乗り出している自分に気付いた。
 本書では、第1章で「創る」と「知る」を循環させる学びを「未来の教室」プロジェクトの貫くコンセプトと解説し、第2章では、教育DXで可能になる「未来の教室」の基本構造を示し、第3章から5章に「未来の教室」の具体的プロジェクトが紹介されている。
 「何を」学び、「どのように」学び、「どう」振り返るか、というプロセスを教育DXを用いてどこまで子どもに任せられるかが、これからの学びの大きな課題と提言している。GIGAスクール構想のゴールが学校のカタチそのものを変える「教育DX」を目指すのか、単に「学校のICT化」を目指すのか、一人一人が熟慮し行動に移すために、ぜひ読んでおきたい書である。
(1870円 学陽書房)
(中川 修一・東京都板橋区教育委員会教育長)

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