管理職以外に「安全」担当を 来年度からの新学校安全推進計画に向け
4面記事中教審答申案
東日本大震災を経て第1次計画を策定した国の学校安全推進計画は来年度から第3次計画を実行することとなり、中央教育審議会の部会は昨年12月22日の最終会合で、管理職以外の教職員の中に学校安全担当を置くことを求める答申案を公表した。中教審は近く文科相に答申を提出し、新計画は意見公募手続きを経て3月までに決定する。文科省は新計画の対象となる5年間に実施状況を調査する。
本年度で計画期間が終わる第2次計画では、学校などに対し、学校安全の中核となる教職員の役割を明確化し、そうした教職員に対する研修の充実を掲げた。
答申案では新計画について、学校安全を担う校務分掌を設け、管理職以外で担当する教職員が誰か明確化することが不可欠だとした。そうした教職員を対象にオンラインを取り入れて研修を充実させるよう求めた。
答申案では、実施状況に関する調査項目を示した。校内の人的体制に関して、「校務分掌に学校安全の中核を担う管理職以外の教職員が位置付けられている学校の割合」「学校安全の中核を担う教職員に対する研修の実施状況、実施体制」を掲げている。
令和元年に確定した大川小学校訴訟判決では、「学校が安全確保義務を履行するために必要な知識・経験は地域住民の知識・経験よりもはるかに高いものでなければならない」との見解を示した。今回の答申案では校長を含む教職員への研修の充実を掲げたが、この判決を踏まえた内容は盛り込まなかった。
学校が避難所となることに関しては、体育館だけではなく、特別教室・普通教室を避難所として利用することについて、学校と関係者との間で協議することが望ましいとした。
停電時を想定した避難訓練やトランシーバーの配備も求めている。
幼稚園と特別支援学校については、それぞれ、安全教育の事例をまとめ、情報発信していくことを掲げた。
性犯罪対策や、SNSを巡る安全の確保についての項目を追加し、文科省が調査する項目として、「SNSに関する安全教育の実施状況」「性犯罪・性暴力の防止のための『生命の安全教育』の実施状況」を示している。これらを学校安全計画に位置付けているかどうかも調べるとした。
校内施設・整備の安全点検では、子どもの視点を加えることで、問題意識の共有が進むなどとして、「児童生徒が安全点検に参加する活動を行っている学校数」を調査項目に入れるべきだとしている。