文科省が端末整備で「やることリスト」公表 新年度に向け
3面記事 文科省は昨年12月21日、1人1台端末を来年度も円滑に使用するため、本年度内に行うべき作業をまとめた「タスクリスト」を公表した。卒業・入学やクラス替えなどに対応させる。同省は「クラウド等を利用した1人1台端末環境では、従来のコンピュータ室での端末配備状況とは異なる年度更新作業が必要」とした上で、「万全な作業計画を立てた上で、年度更新を円滑に」と呼び掛けた。
このタスクリストは同省ホームページ(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_01736.html)で確認できる。
同省は1人1台端末の年度更新について、
(1) アカウント(ID)の更新
(2) 端末の更新
(3) データの取り扱い
(4) 組織体制の整備
―の四つの観点から検討する必要があるとしている。
アカウントの更新では、教委に向け、教委や学校、児童・生徒のアカウント運用(登録、修正、削除)に関する方針を示し、マニュアルの作成を求めた。
更新するアカウントの対象になるのは、Googleやマイクロソフトなど、端末のアカウントのみでなく、デジタル教材などで利用しているアカウントも含まれる。
教委の役割として、教委の管理しているアカウントと学校が管理しているアカウントとに整理するとした。学校は、教委が挙げたアカウントのうち、年度更新が必要なものを区別する。
アカウント更新の作業項目を列挙し、各項目の担当者や作業順序、完了日などを計画表にまとめ、共有する。その次に、更新に必要なアカウント、氏名、年・組・出席番号などの情報を収集する。これらの情報をデータファイルに保管。教委と学校がそれぞれ管理するアカウントについてデータファイルを作成する。
万が一に備えて更新前のデータに戻せるよう、バックアップを用意してから、更新作業を行い、アカウントのIDとパスワードを児童・生徒に渡すとしている。
進学や転出、卒業などで使用者が学校を離れる場合、(1)で設けた方針に従い、アカウントの停止・削除を行う。その際、すぐに停止や削除せず、一定期間空けることを推奨。トラブルなどによるデータ紛失の被害を防げるという。
端末の更新では、新年度の児童・生徒数の増減に伴い、学校間での配置の見直しを行う。端末本体に加え、電源ケーブルやキーボード、ケースなどの付属品も見直しの対象となる。
進学や転出、卒業などで学校を離れる場合も、端末や付属品を回収する。
端末を別の使用者に引き継ぐ場合、端末内のデータを全て消去し、初期状態にする必要がある。前の使用者の情報が残っていないことを確認する。
端末の管理台帳に使用者の登録や更新を行い、付属品と共に児童・生徒に貸し出すこととした。
タスクリストでは、端末の回収を年度内に完了し、4月の児童・生徒数の確定後に、最終的な配備数の調整を行うよう促している。
データの取り扱いについても、ICTを使った学習成果物などの取り扱いに関する方針の作成を教委に求めている。進級後も、児童・生徒が自らの学習成果物を参照できるよう、クラウドサービスや学習支援ソフトなどを活用する。
学習成果物のデータ整理は、児童・生徒自身に行わせることも提案している。
進学や転出、卒業などで学校を離れる場合のデータの移行や処理についても、教委の方針で示す必要がある。
組織体制の整備については、年度更新の作業の方針やスケジュールを定めるため、教委や校長、ICT支援員などで構成する体制づくりを求めている。校長や学級担任以外にも、新年度に向けて必要な作業やその意味を理解する必要があるとした。
教委に対しては、これらの作業に関する一元的な問い合わせ窓口の設置を求めた。文科省の「ICT活用教育アドバイザー」の積極的な活用も呼び掛けている。