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一刀両断 実践者の視点から【第112回】

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「退職後は処分なし」でよいのか

 《県立高の元事務長が1686万円着服 退職で処分できず、県教委謝罪》(朝日新聞社)という見出しの極めて変なニュースが流れた。満額退職金から返済されたことになるが、そもそも過去の犯罪が退職後に分かっても舞い戻って退職金等の返済を求められない。本人が返済せざるをえない状況にあって仕方なくというように感じられた。
 この事案は制度の限界を教えている。倫理や道徳であれば明らかに間違っているが、仕組みの上では制限がかかってしまうのである。
 退職後は処分が出来ないという変な仕組みはいつまで変えないのか。間違っているなら改めるのが法治国家ではないのか。抜け道を塞ぐのが出来ないのなら、抜け道を伝授する輩も増えるだろう。狸と狐の化かしあいをいつまで続けるのだろうか。
 先日の最高裁の裁判官の国民審査も形骸化したまま改善しない。あの費用もバカにならないはずである。呆れる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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