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リフレクションを学ぶ! リフレクションで学ぶ!

14面記事

書評

上條 晴夫 編著
「気づき」を深掘り、学びを深化

 「授業者の自評や研究の経過の説明、指導助言」―。厳しいご指摘は研究授業後の一般的なパターンである。一方で提起された授業が参加者の“自分ごと”になるように、創意工夫する検討会も少なくない。でも、例えば、事後検討会が参加者の感じたことを「聴き合う時間」になったら、どうだろうか。
 本書は、仲間たちとの対話によって自分の「気づき」を引き出し、さらにその「気づき」を深掘りすることで、自分にとっての学びの意味、学びの仕掛けを感得し、より伸長していくよすがとなる「協働的な授業リフレクション」を提案する。「リフレクション」は「振り返り」と訳されるが、「振り返り」に内実を与えた。
 「協働的な授業リフレクション」の誕生と必要性、手法を教師教育、哲学、心理学などの知見から解説。活用の実際を、校内研究だけでなく、教員研修、教育サークル、教育イベント、日記での個人研究として掲載した。
 また、コロナ禍は、オンラインによる新たな研究、研修の場を活性化した。その際のキーワードが「コミュニティ」であり「リフレクション」である。本書後半ではリフレクションを取り入れることによって、多様な学びと深化を実現できる可能性を提示した。
 校内研究の現状を改善したいと願う人たちなどは、新たな手法と出合うだろう。
(1760円 学事出版)
(矢)

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