山本　純人　著
ストレスためない段取りの知恵

　新任教員や教員を目指す方にとっての「入門」書としての役割だけでなく、むしろ毎日を教職に捧げている方たちにも読んでもらいたい本である。業務目標の達成を期しながら、生徒や同僚との関係で、思うようにならないストレスをため込む前に、求めたことをスムーズに行ってもらうための段取りのアイデアを豊富に示した仕事術である。
　真っ先に取り上げたのが、教室内に設置する「トイレットペーパーホルダー」。給食時の配膳側に設置して、こぼれや汚れに即座に対処できるようにする。「『きれいにしなさい』という前に、きれいになる環境をお膳立てしておく必要があります」という著者の考え方は、本書のいろいろなアイデアに通底する。
　掲示物の有効活用は伝えたいことを伝える手段。教室内の横に壁でもあれば模造紙を使い掲示場所に有効活用。掲示物には賞味期限を明示するなど、処分方法も織り込む。また、家庭に届かない配布物を確実に届けるため、ロッカーなどの整理日を順繰りに割り当てる。出張など不在時には配布物の受け入れ箱を机に置き、時間軸で情報を把握する。「スピード」よりも「スムーズ」に重きを置く働き方を模索する姿勢が生み出す知恵だ。
　「教室・学級づくり」「職員室・お仕事の工夫」「教師人生をもう少し豊かに・リフレッシュ」の各章に１ページ一つ、計１３０の知恵を収めた。
（２０９０円　明治図書出版）
（矢）