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拒食症の未成年1・6倍に コロナ禍のストレス影響か

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国立成育医療研調べ

 新型コロナウイルス感染症の流行が拡大した昨年度、摂食障害の一つである「神経性やせ症」(拒食症)と新たに診断された20歳未満の患者が前年度の1・6倍に増加したことが、国立成育医療研究センターの調査で分かった。背景には緊急事態宣言や学校の臨時休業をはじめ、生活環境の変化によるストレスや不安が影響したとみられる。
 神経性やせ症は、極端に食事を制限したり、多過ぎる食事の後に吐き出したりするなどして、正常体重より明らかに低い状態になる疾患。調査は4月から6月にかけて、全国の26医療機関から回答を得た。
 令和2年度に初めて外来診療を受け、神経性やせ症と診断された未成年の患者のうち、男性は28人(令和元年度17人)、女性は230人(同141人)で、それぞれ1・6倍に増えた。
 新たに入院した未成年の患者も増加した。男性は9人(同6人)で1・5倍、女性は132人(同93人)で1・4倍に上った。
 調査では、コロナ禍で患者が重症化し、入院期間が延びている一方、病床が不足していることも分かった。摂食障害を診察できる医療機関の拡充も課題となっている。
 同センターは「神経性やせ症の場合、本人が病気を否認して医療機関の受診が遅れがちになる。家庭や教育機関では子どもの食欲や体重の減少に気を配り、深刻な状態になる前に、まずは内科や小児科などのかかりつけ医を受診してほしい」と呼び掛けている。
 日本内分泌学会のウェブサイトによると、神経性やせ症の治療について、外来、入院どちらでも少しずつ適切に食事を取る取り組みを続け、身体的な管理を受けながら、患者が自身の抱える心理的な問題に向き合い、それを解決し、乗り越えていくことが必要になるという。

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