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一刀両断 実践者の視点から【第81回】

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論説・コラム

配布した情報端末を通した「いじめ」

 東京都町田市の小学校で児童が自ら命を落とした。タブレットを悪用するいじめがあったとし、波紋を広げている。
 タブレットは学校が支給した情報端末なのだから、使用にあたっての制限や制御はあってしかるべきものである。しかし、行政のやり方は、いつものように物と金を配るだけで終わることが多い。過去の刺股配布もそうだった。
 今回のいじめの内容は異常に近い。学校側には明らかな落ち度がありそうだ。解決したとした安易さがいじめをさらに加速させていることがまるっきり把握されていなかった。
 教委もそれを指導するレベルに至っていない事がはっきりと分かるから情けない。
 この案件は様々な要素を含んでいる。後々まで記録を残すべきものと考えている。その意味でも今後の展開を注視したい。
 第三者委員会で検証するようだが、遺族が期待される成果を出せるとは思えない。親としては子どもの心情をつぶさにやり取りできる対話がもっとあったらと悔やまれていることだろう。
 以前にも触れたが、(1)いじめがひとつの要因として済まされ、(2)ご家族が公表を望まないので、の二つの手法は、今後も責任回避として事実を隠蔽する逃げ口上として利用される事だろう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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