小学校教科担任制、2000人加配 文科省・来年度予算 概算要求
1面記事GIGAで支援センターも
文科省は、令和4年度政府予算の概算要求に、本年度より11・7%増の5兆9161億円を計上した。来年度から小学校5、6年生で本格的に導入する教科担任制は今後4年間をかけて段階的に進めるとして、教員2千人の加配を盛り込んだ。また、小・中学校で1人1台の情報端末配備が進む中、家庭へ持ち帰った際のトラブルなどに対応する「GIGAスクール運営支援センター」を各自治体に新たに整備する。
来年度から国として本格的に始める小学校高学年の教科担任では新たに2千人の加配を要求した。同省では、優先的に専科指導を行う対象として、外国語、理科、算数、体育の4教科を示している。その中から自治体の判断で配置できるようにする。今後4年間かけて8800人程度増やす計画だ。
高学年の教員の持ちコマ数を週25コマから20コマに減らす中で、人数を割り出したという。専科指導のための加配教員は、従来も毎年8千人を要求しており、教科担任として合わせて最終的に1万6千人を充てる予定だ。
また、小学校の35人以下学級の実現では、3年生が対象となる来年度は教員3290人を要求した。
学習プリントの準備や来客・電話対応などにより教員を支援する教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)も増員する。本年度より1万4700人多い2万4300人を要求。5学級以下の極小規模校を除く全ての小・中学校への配置を目指す。
スクール・サポート・スタッフは、8月の省令改正で名称を「教員業務支援員」と定め、職務内容を示した。学習指導員は3100人増の1万4100人を要求した。
たんの吸引や人工呼吸器による呼吸管理が必要な「医療的ケア児」への支援体制も拡充する。校外学習や登下校時の送迎車両への同乗を含め、学校で医療的ケアに関わる看護職員を前年度より600人増やし、3千人を配置する。看護職員の配置は今年6月に成立した医療的ケア児の支援法で求められていた。
全国の小・中学校で1人1台の情報端末を活用した授業が広がる中、端末の運用や教職員へのサポート体制を整備しようと、都道府県や市区町村に「GIGAスクール運営支援センター」を新設する。各自治体が民間事業者に委託し、端末持ち帰り時の故障やトラブルへの対応、ICT支援員の育成や確保を担う。
整備する自治体に対して運営費の半額を補助する。設置者が単独で委託事業を実施できる他、複数の自治体が連携して実施することも想定している。
1人1台の環境下で学習者用デジタル教科書の普及もさらに進める。本年度から全国の約4割の国公私立小・中学校で始めた実証研究について、来年度は全ての小・中学校に広げる。小学校5、6年と中学校全学年、特別支援学校・学級の全学年に1教科分を提供し、小学校の重点校では1~4年生も対象とする。
今年5月に施行した教師のわいせつ行為防止法に関連して、過去に児童・生徒へのわいせつ行為で免許状を失効した教員のデータベースを開発するための費用も新たに計上した。都道府県教委が直接入力した免許状失効者の情報を、採用する教委や学校法人がすぐに閲覧できるデータベースを構築するという。