免許更新制、廃止求める 中教審小委員会
1面記事 教員免許更新制の見直しを議論してきた中央教育審議会の小委員会は8月23日、更新制の廃止を求めることに合意した。文科省の示した「審議まとめ案」を了承した。
学校の働き方改革が求められる中、更新制が教員の負担になっていることや、最新の知識を身に付けるために10年に1度の講習を受けるという制度自体が矛盾していることなどが理由。来年の通常国会に関連法の改正案が提出される見通しだ。
中教審では、昨年秋から更新制の存廃を含めた議論が始まり、今年3月には萩生田光一文科相が諮問で「抜本的な見直し」に向けた検討を求めていた。中教審のヒアリングでは、更新制の負担感が教員不足に影響を与えているという意見が出ていた。
また、更新制の効果を調べるために文科省が4~5月に現職教員約2千人に実施したアンケートでは「役立っている」と答えた割合が33%にとどまり、受講者の満足度も低かった。
これまで中教審では、教員の受講の負担を減らすため、更新講習のオンライン化の促進や「2年間で30時間以上」としている受講期間の弾力化などを探ってきたが、「更新制の抱える課題の抜本的改善にはつながらない」と判断した。
審議まとめ案では、免許更新制に代わって現職研修の充実を図ることを明記した。そのために、今後、公立学校の教員を対象とした、研修の受講履歴を管理する情報システムを導入する。教職員支援機構が運営するシステムで、教員一人一人にIDを付与し、受講履歴を確認できるようにする。教育委員会の育成指標に基づく効果的な研修にもつなげるとしている。
萩生田文科相は同日、記者団の質問に答え「子どもたちの人生に関わる教員には、10年に1度の講習よりも不断の学びが大事だと考えている。受講履歴を積み上げることで、教員一人一人に合ったオーダーメードの研修により、レベルアップにつながるのではないか」と話した。