日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

一刀両断 実践者の視点から【第59回】

NEWS

論説・コラム

犯罪者を生まぬ社会に
 
 オリンピックからパラリンピックへ繋がれていくその感動はさらに広がるだろうと予想される。アスリートたちの姿に勇気や挑戦の素晴らしさを教えてもらった気がする。こうしたイベントが終わると一斉に評論家が堰を切ったように風を読みながら話し始める。開催してよかったという風潮が高まると口をつぐむメディアやコメンテーターが際立つ浅ましさが不愉快にさせる。
 失うものと得るものとが必ずある。そのどちらになるかで見える景色は大きく異なる。
 話は変わって、電車内での殺意を露にした事件が起きた。無差別殺人を狙ったこの種の残忍な出来事を私達はどのように理解しているだろうか。
 とんでもない事だと言っても、似た状況が何度も繰り返されているではないのか、本音は想定外だとは思っていない人が多いだろう。自動改札機にセンサーを用意するとか、顔認証で危険な心理を読み取るとか、打つ手があるようにも思える。ドローンにも期待はするが、身近なところの安心安全の方にAI技術を加速させるべきではないだろうか。
 再発を防ぐには加害者が加害者になっていく経緯を分析して加害者とならないようにする社会システムを構築すべきではないだろうか。
 その点で義務教育期間は極めて重要となる。苗木のような時期に、やがて加害者になる未来像は描かない。その意味でも幼児教育や義務教育を軽視し予算を配当しないツケが犯罪として現れているように思える。卒業アルバムに将来オリンピックのアスリートになりたいと書く子どもはいるが、犯罪者になると書く子は一人もいない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

論説・コラム

連載