ひとり親、多子、生活困窮…NPO法人支援先の家庭7割減収に
15面記事ひとり親家庭、多子家庭、生活困窮家庭などを支援しているNPO法人の「キッズドア」が今夏、支援先の家庭を対象にアンケートを行ったところ、7割が昨年より収入が減りそうであることが分かった。食事内容を見直す動きが広がっている他、学校徴収金の支払いが遅れた家庭も少なくなかった。同法人は、この調査結果を基に、政府や国会議員にそうした家庭を対象に、現金を支給するよう求めている。
現金支給、国に求める
この調査は6月26日から7月3日までインターネットを通して実施。高校生以下の子どもがいる世帯を対象とした。回収率は約60%。1469件の回答を得た。
昨年の年収は、「200万円未満」が65%を占めた。今年6月現在の貯蓄額は、「0~10万円未満」が51%という状況だった。
今年の収入が減りそうだと答えた割合は70%に達した。
調査対象のうち、2人親家庭からは135件の回答を得ている。2人親家庭に限って集計すると、昨年の収入は、「200万円未満」が26%と、収入は多い傾向にあったが、貯蓄額は逆に「0~10万円未満」が64%を占め、少ない傾向にあった。
今年の収入が減りそうだと答えた割合は77%で、より多くを占めていた。
回答全体のうち、昨年1月以降の変化として挙がった回答は、「より安いものを買うことが増えた」が79%に達した。「家賃・電気・ガス代金等が払えなかったことがある」は32%、「食料品が買えなかったことがある」は24%だった。
教育関係の変化については、「学校関係の支払いが遅れた」は38%、「習い事の支払いができなかった」は28%、「学校関係の引き落としができなかった」は26%が挙げた。
食事の量・質の変化としては、「より安いおかずにするようになった」(72%)、「食事の質(栄養バランス)が悪くなった」(56%)、「食事のボリューム(量)が減った」(47%)を挙げる割合が高かった。23%は「食事の回数が減った」を挙げた。
必要としている支援を選択肢から三つまで挙げてもらった結果では、「特別給付金などの現金給付」を88%が挙げ、「食料の支援」(72%)、「生活必需品や文具などの物資支援」(44%)が続いた。
同法人の渡辺由美子理事長は7月28日に記者会見し、政府の予算は十分に執行されていないことなどを指摘。早急な現金支給が必要だと訴えた。また、「経済状況が悪くなって進路を変えなければならない」といった実態にも触れた。
進路状況に関しても、同法人は今回、調べている。子どもの進路・将来について、新型コロナウイルスの影響を選択肢から一つ挙げてもらったところ、40%が「希望する進路に進めない可能性がある」を挙げていた。
保護者8割「常に疲れ」
この調査では、保護者の心身の健康状況が悪化傾向にあることも分かった。現在の体調について選択肢の中から当てはまるものを挙げてもらうと、「常に疲れを感じる」を挙げた割合は82%に達した。「よく眠れないことがある」は53%が挙げた。
他の選択肢を挙げた割合は「持病がある」が29%、「健康上の理由で働くことができない」が12%、「特に健康上の不安はない」は6%だった。
新型コロナウイルス感染症が広がったことに伴って、「困ったことやストレスに感じたこと」を問う設問では、「家族・親戚・友人などに会えない」が最も多く64%に達した。
以下、多かった順に、「子どもの勉強や進学に影響が出たり、友達と遊ぶ機会が減った」(58%)、「仕事や家事、勉強の効率が落ちた」(54%)、「家庭内でのいさかいが増えた」(28%)、「子どもとの関係が変化した」(20%)という結果が出ている。