特別の支援を必要とする多様な子どもの理解 「医教連携」で読み解く発達支援
12面記事長崎大学子どもの心の医療・教育センター 監修
吉田 ゆり 編著
個別の特性を総合的に捉え、支える
今日の学校教育において、さまざまな問題や困難を抱えている子どもが数多く存在している。そうした子どもに対しては、個別の事情や状況に合わせた支援が求められる。そこに関わる専門家は、教育・医療・保健・福祉・労働・司法矯正など、極めて多方面にわたっている。それらの専門家が、互いに情報を共有し、相互の活動を補い合いながら、その子どもの生活全体を支えていかなければならないのである。
本書は、平成28年に、長崎大学に開設された子どもの心の医療・教育センターが中心となって行われてきた医学部と教育学部を架橋する教育活動の成果を基に、医療と教育の連携の在り方を示したものである。
同センターでは、医教共同教育プログラムの開発と実施、職業実践力育成プログラムの実施、保育園・幼稚園・学校などへの訪問支援、長崎県内の各地域における子どもの心の支援のネットワーク構築などを進めてきた。こうした実践的活動に裏打ちされた医教連携は、子どもの生活をトータルに捉えるとともに、個々の子どもの障害の特性に応じた支援を行っていく活動の一つの典型といえるだろう。
子どもの障害は多様であり、個別性を持っている。支援ニーズを的確に把握し、必要とされる支援・合理的配慮を進めていく鍵は、専門家たちの共同と連携なのである。
(2420円 北大路書房)
(都筑 学・中央大学教授)