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郷土の食材を利用した学校給食と地域振興

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 島根県雲南市では、令和元年8月に全6カ所あった学校給食センターの内、4つの給食センターを統合、新たに合計3カ所の給食センターになった事を期に給食センター側と生産者側の調整役としての仕組みづくりを担うコーディネータをそれぞれ配置した。そこで農政課として学校給食に携わる、雲南市農林振興部農政課主幹の小林弘典氏に話を聞いた。


小林 弘典 雲南市農林振興部農政課主幹

 はじめに市内の給食センターでは一日合計約3400食を作っており、地場産物(市内産野菜)の利用率は令和元年度が45%、令和2年度で47・2%です。雲南市の特徴として、野菜生産組合と学校給食に必要な野菜の発注などの調整業務などを行なっていました。
 しかし、給食センターの統合により栄養教諭の配置が削減され、反対に一人が担当する学校数が増えてしまい、学校への食の指導を行う中で今までのような生産組合との調整ができない状況になってしまいました。そこで栄養教諭をフォローするために、コーディネーターを配置しました。
 具体的な業務内容は、毎日学校給食で使われる野菜を雲南市が指定した場所へ集荷にいったり、生産組合に出向き、翌月の学校給食に必要な野菜の発注と受注を一括で行ったりして、生産・供給調整をしています。一方で、生産現場の旬の野菜などの情報を栄養教諭と共有して献立に活かしています。実際にコーディネーターを配置する前の地場産物利用率から10%以上も上がり、地元生産者の安定した収入につながっています。
 今年度より、文科省で予算化され、「学校給食地場産物使用推進事業」のモデル事業が行われていますが、この雲南市の取り組みを参考にしています。
 また、改定があった第4次食育推進基本計画にも市として対応すべく準備を進めています。学校給食における地場産物を活用した取り組み等を増やす目標が追加見直しされ、栄養教諭による指導の回数が増えたり、地場産物を使用する割合が金額ベースになり、ますますコーディネーターの役割が注目されてきています。
 また、生産者の所得向上を目指して新たな取り組みも始めています。学校給食における地場産を家庭での食卓にもつなげようということで、天候や注文量によって余剰となった野菜にシールをつけて市内スーパーで販売を始めました。この取り組みは第4次食育推進基本計画の「産地や生産者を意識して農林水産物・食品を選ぶ国民を増やす」目標につながっており、学校給食で使用されている安心・安全の食材を選べることや、食品ロスの削減にも貢献しています。

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