SDGs達成の担い手育成を支援~カリキュラムの開発・実践や教師教育を推進する事業に~
11面記事文部科学省では、SDGs達成に向けた取り組みが広く普及したことや、新学習指導要領において「持続可能な社会の創り手の育成」が明記されたことを背景に、その担い手に必要な資質・能力の向上を図る優れた取り組みを支援する、「SDGs達成の担い手育成(ESD)推進事業」を2019年度から実施している。
過去2年間で27団体を採択しているが、今年度は36団体から応募があり、14団体を採択した。事業の内容は、
(1) カリキュラム等開発・実践
(2) 教師教育の推進
(3) 教育(学習)効果の評価と普及
(4) ユース世代の活動の推進
―に分かれている。
(1)で採択された静岡大学は、ESD実践の基盤となる公立学校の組織・カリキュラムのモデル開発に取り組む。(株)タカラトミーは「人生ゲーム」を活用したSDGs達成の視点を組み込んだ授業ツールの開発と授業を実施する。宮城教育大学は、教員・学校・地域間の相互エンパワーメントによるカリキュラムの展開と評価方法を開発する。また、日本極地研究振興会は、温暖化が先行する南極・北極域での最新の研究成果をもとに、小学生用と中学生用の副読本および学習プログラム「南極・北極から地球の未来を考える」を開発し、それらを用いた授業を全国の小・中学校で実践する。
(2)の金沢大学はSDGs達成に向けたeラーニング教材開発を中心とする教員等の人材育成、東京学芸大学は国際的なESDプログラムであるGLOBEを活用し、小中高・大学にてSDGs達成の担い手となる日本型グローブティーチャー養成モデルを開発する。金沢工業大学は、ゲーミフィケーションを活用したSDGs教材・カリキュラムについて教員同士の学びあいを促す学習コミュニティの創造・運営を行う。
(3)では、ユネスコ・アジア文化センターが昨年度事業で抽出した児童生徒及び教員、学校への評価の視点や要素から、ESDにおける評価の特長や独自性を洗い出し、事業参加教員の実践事例の中からその特質をもつ評価手法を実証研究する。横浜市教育委員会は、ESDの推進に向けた多様な評価に関する研究とその成果の普及に取り組む。
(4)の京都市環境保全活動推進協会は、大学生を中心に持続可能な社会の創り手を育成するためのアクティブ・ラーニング型のカリキュラムを作成。自身や社会の取り組みをSDGsの視点から捉える思考を身につけるとともに、多様な関係者とのネットワークを通じて課題解決能力を養うための場づくりを行う。