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一刀両断 実践者の視点から【第26回】

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生徒の自殺めぐる「第三者」の発言

 生徒の自殺をめぐって、第三者委員会からおかしな報告が出た。
 《中2男子自殺『要因は小学校でのいじめ』第三者委認定“担任から中学へ引き継がれず”》(MBSニュース)という記事を目にした。
 担任がきちんと引き継いでいたのならこの自殺は防げたという結論である。今回も、いじめを自殺の要因のひとつとしてまとめている。さらに第三者委員会の委員は「(自殺の予兆に)気づき止めることが出来なかったということを、ものすごく深く受け止めて、今後に生かしていく必要があるだろう」と発言したという。末尾に本音が見える。「生かしていく必要があるだろう」とは、まさに第三者らしい言いぐさではないだろうか。私ならば「生かさねばならない」と、強いメッセージで決意を込めて話すだろう。
 また、「すごく深く」とは何を指すのだろうか。具体性が何もないように感じられてしまう。
 小中学校の担任同士が引き継ぎを真摯に行う関係性があればよいのだが、時間もなく事務的であることも多い。個々の問題をどこまで伝えるかなどは学校に任されている。引き継ぎを丁寧にやるならば十分な時間と内容を明確にする必要がある。
 それが出来ないような学校の実情を作っているのは誰だろうか。とかげのしっぽ切りのように感じられてしまう。こうした結論を出すのが第三者委員会なのだろうか。すなわち傍観者がもっといたはずである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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