デジタル教科書で報告案 紙との「二項対立」避けて
1面記事文科省検討会議
デジタル教科書の在り方や効果的な活用を議論している文科省の検討会議は5月27日、令和6年度の本格導入に向けた第1次報告案を大筋で了承した。
全国の小・中学校で実証研究が進む中、報告案ではデジタル教科書の使用自体を目的としたり、「紙かデジタルか」といった「二項対立」の議論に陥ったりすべきではないと指摘した。
検討会議は3月、紙とデジタルの各教科書の組み合わせを示す中間まとめを公表した。例として、
・全てデジタルに置き換え
・全てまたは一部の教科で紙とデジタルを併用
・一部の学年または教科でデジタルを導入
・設置者が当該年度で使用する教科書を選択
・全教科で主にデジタル、必要に応じて紙を使用
―の5案を挙げた。
その後、4月上旬にかけて行った関係団体への意見聴取や意見募集(パブリックコメント)を受け、報告案では児童・生徒への健康面への影響、自治体や学校、家庭の状況により教育の格差につながることのないような環境整備について記述を加えた。
デジタル教科書の今後の在り方を巡っては、全国での実証研究の成果を踏まえ、財政負担も考慮しながら詳細に検討する必要があるとしている。
全都道府県で実施する本年度の実証事業は5月現在、全1788自治体のうち1377自治体が参加。小学校段階で約7900校、中学校段階で約4300校が参加し、全体の約40%で実施している。
教科別では、小学校で算数(32%)での導入が最も多く、次いで社会(17%)、国語(15%)。中学校では英語(30%)が最多で、数学(25%)と理科(23%)が続いた。