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東京・青ヶ島の学校から ~日本一人口の少ない村の学校での取り組み~【第25回】

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起業家とともに「青ヶ島の将来を考える」

 「どんなに素晴らしいプロジェクトであっても、持続可能性がなければ、青ヶ島のためには、ならないのではないかな?それぞれが今考えているプロジェクトは、その視点ではどうなのか見直してみてはどうかな?」講師からの問いかけで、生徒は自分が考えたプロジェクトについて、深く考えていました。
 令和3年5月6日(木)午後、中学3年生の総合的な学習の時間の授業で、都内の起業家の方から、オンラインで指導を受けました。
 3年生は、昨年度から2年間に渡る計画で、総合的な学習の時間において、「青ヶ島の将来を考える」をテーマとして、学習を積み重ねています。
 青ヶ島が持続可能な島となるために、生徒が考える現在の課題に対して、どのように解決を図るかを、それぞれがプロジェクトとして検討しています。
 そのプロジェクトに対して、実際に自身で起業をしている専門家の方から、事業を進めるにあたっての基本的な視点を教えてもらいました。
 事業を考えるには、「有用性」「実現可能性」「持続可能性」を考える必要があることや、事業として続けていくためには、利益を高める必要があり、「売上を伸ばし」「経費を減らす」ための工夫が必要であることを教えてもらいました。そして、それぞれの考えているプロジェクトの内容についても具体的なアドバイスをもらいました。
 生徒は、実際の社会の仕組みを学び、新しい視点や広い視野を獲得し、自分のプロジェクトについて、再度じっくりと深く考えていました。
 オンラインでの指導をしていただいている「Good Try JAPAN」代表理事の中野修二さんとは、3年生の担任が別の学校に勤めていた時に、区の事業で知り合ったことが縁で、昨年度の移動教室の時に都内で行った職場体験で受け入れてもらいました。
 総合的な学習の時間のオンラインでの指導は、その延長線上としてお願いをしたもので、今回で2回目となります。教員とは違った、起業の専門家の視点からのアドバイスに、生徒は事業の難しさやたくさんの工夫の必要性などを実感しました。
 3年生の担任である辻賢哲教諭は、起業家からの指導について「教員とは違った視点からの指導であり、自身の様々な経験を経ての言葉であるため、適切で説得力があり、生徒にはとても刺激になります。中野さんからの指導がなければ、この学習は、単なる生徒の空想で終わっていたかもしれないところが、実現可能性のある提言に変わっていきました」と、その意義を話します。
 3年生は、今後、中野さんからのアドバイスを受け続けるとともに、東北地方への移動教室での体験等も交え、「青ヶ島の将来を考える」プロジェクトは、秋の発表に向けて、ブラッシュアップしていく計画です。どのようなプロジェクトが出来上がるか楽しみです。

東京・青ヶ島の学校から~日本一人口の少ない村の学校での取り組み~