知的障害ある子に「安心手帳」災害時の行動手順、配慮求める事柄記載
11面記事PTA団体が作成
全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会(茨田一矢会長)は知的障害がある子どもなどを自然災害や犯罪などから守るための取り組みを進めている。この春には、児童・生徒それぞれが携帯する「安心手帳」を完成させ、会員に配るとともに、一般公開を始めた。安心手帳は、本人向けに地震などが起きた際にどのように行動するかを順にまとめてあり、周囲にいる人に対しては、どのような配慮が必要か記入して伝えられるようにしている。
同連合会は10年前の東日本大震災を経て、知的障害がある子どもを災害などから守る方策について検討し、啓発資料を発行するなどしてきた。
今回の「安心手帳」は印刷物として、PTA会員に配っている他、同連合会のホームページから自由にダウンロードできるようにしてある。折り畳んだ状態だと縦が15センチ、横が10センチほどの大きさ。透明なカバーを付けて児童・生徒が携帯することを想定している。
裏表紙には、「あなたの支援が必要です」という文言と共に赤色のヘルプマークを印刷してある。ヘルプマークの活用に当たっては東京都の許可を得たという。
子どもが行方不明になった事態に備えて、保護者向けに、衣服・持ち物に記名するなどの点検項目一覧を載せ、発見した人に向けて、配慮してほしい事柄を記してある。
同連合会では、知的障害がある子どもの保護者に限らず、多くの人に見てもらい、知的障害がある子どもへの理解を深めるきっかけにしてほしいとしている。
新たな啓発資料も
同連合会は安心手帳とともに、保護者の立場から、会員や特別支援学校に対して、知的障害がある子どもを守るために知っておきたいことをまとめた啓発資料を新たに作った。
「BOSAIサイドブック」の名で、8ページ立て。特別支援学校が行っている防災教育をはじめ、児童・生徒らを守るための取り組みを紹介するとともに、その課題も指摘。家庭に対しては、学校外で子どもたちを守るために注意したいことなどを紹介している。
テレビやスマートフォンで緊急地震速報が出てから避難する練習ばかりでなく、直下型地震に備え、地鳴りや揺れを察知して避難する練習が必要だとの見解を掲載。阪神・淡路大震災や大阪府北部地震の動画を見て揺れをイメージし、身体を守るための一連の行動を練習する方法があるなどとしている。
茨田会長は「あらゆる人にどんどん活用してもらいたい。この手帳を参考に、それぞれに合ったものに作り直してもらっても構いません」などと話している。