主権者教育、「公共」で充実を 文科省が最終報告
1面記事 選挙権年齢や成人年齢引き下げを受けて、主権者教育の充実策を話し合ってきた文科省の有識者会議が3月下旬、最終報告を公表した。高校の授業で現実の政治的課題を扱った話し合いが少ないことを課題に挙げ、新科目「公共」での指導の充実を求めた。今後、モデル校で研究を始める。
同省の調査によると、令和元年度に主権者教育は9割の高校で実施されていたが、現実の政治的課題の話し合いに取り組んだのは3割強にとどまった。教育基本法が規定する「政治的中立性の確保」を意識し過ぎるあまり、高校現場が慎重になっていることが要因の一つとされている。
そのため、報告書では模擬選挙や模擬議会を取り入れた授業を研究するモデル校を指定することを提案。学校外の機関と連携した授業や、生徒会活動の活性化も要望した。
小・中学校での指導の充実も盛り込んだ。モデル校で地方自治や身近な町の課題解決に取り組む学習を実践することを提案。副教材と指導資料の開発を進めることも要望した。
総務省と文科省は、選挙権年齢の引き下げを受けて平成27年に作成した副教材「私たちが拓く日本の未来」の改訂も進めている。