山根　修　著
明日へ踏み出す力湧く一冊

　「あなたの座右の銘は何ですか」と尋ねられたら、どんな言葉が浮かぶだろう。教師であれば、卒業する子どもたちに贈る言葉の中で紹介する経験もお持ちかと思う。座右の銘に限らずとも、私たちは、いろいろな言葉に励まされ、教えられもしている。
　本書には多くの名言が紹介され「読めば明日へと踏み出す力が湧き出る本にしたい」との著者の言葉通り、先人の名言は心に染み入る。
　第１章は「自分に自信をつけるための名言」、第２章は「子ども理解を深めるための名言」、第３章は「辛い日々を乗り越えるための名言」、第４章が「ここ一番に強くなるための名言」の４章で構成。さらに各章は、例えば「子どもの何気ない一言に傷つく」や「職場の環境になじめない」など、こんなときにページを開いてみませんか、とガイドしている。そして、著者自身の豊富な経験を織り交ぜた解説。その解説の言葉も読者に寄り添い温かみを感じ、かつ具体的な内容である。読めばエールを得た気分になり、「また、頑張ろうかな」と思えてくる。
　小学校教員採用倍率が過去最低との報道。心配な数値だ。確かに学校現場は甘くはない。多くの課題があり、悩みは尽きない。でも、教師の仕事は夢があり、やりがいがある魅力的な仕事だ。悩んだときには、ポジティブ・マインドで歩むためにも、ぜひ本書を手に取っていただきたい。
（１９８０円　明治図書出版）
（藤本　鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事）