2週間欠席の児童への声掛けは? 感染症通じ人権教育教材作成
1面記事滋賀県教委
滋賀県教委は、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、感染症を通じて考える人権学習の指導資料を作成した。小学校から高校まで、段階に応じた七つの指導資料を収録。それぞれ指導案とワークシートで構成している。小学校中学年向けの教材では、発熱で2週間欠席した児童への対応を題材にした。「うつるかもしれないから気を付けよう」といった発言が出た際の対応を考えさせる内容となっている。
この教材は、道徳の授業をはじめ、特別活動、ショートホームルームなどでの活用を想定している。特別支援学校でも小・中学校、高校と同様に活用できる。ホームページから誰でも閲覧できる。
このうち、小学校中学年向けでは、安易に嫌な言葉を掛けたり、ふざけて相手を傷つけたりすることの問題点を考えさせる。
ワークシートは児童同士の会話を想定。2週間風邪で欠席した児童の陰で「新型コロナウイルス感染症ではないか」といった内容の会話を聞いてどのように考えるか、自由に書かせるようになっている。
これに先立ち、教材では、欠席した児童は病院で「明日から学校に行ってもいいよ」と言われたことに触れている。活用の際はまず、会話文が中心の読み物資料を読んで、児童は「気になったところ」に線を引くこととした。
授業のまとめでは、欠席していた児童は病院から登校の許可が出ていることを説明し、新型コロナウイルスを「正しく恐れる」ことが大切であることを指導するよう求めた。
中学生向けの教材は、身の回りで起こり得る問題について、「本音で話し合う」というもの。生徒に対して、「新型コロナウイルスに感染するのは本人の責任だ」とする考え方を示した上で、自分の考えを四つの選択肢の中から選ばせる。
教室など、この教材を使った学習を行う会場を「そう思う」「ややそう思う」「あまりそう思わない」「そう思わない」の4区画に区切って、生徒は自分の考えに近い区画に移動。同じ区画に集まった生徒同士で考えを交わす。
考えを巡らせる主題としては他に、「感染した人の個人情報がSNSでさらされるのは仕方がない」など5項目を挙げている。
この資料は、コロナ禍で不安な日々を過ごす児童・生徒が、不安やストレスから不適切な言動を取ってしまう可能性を考慮して作成された。ただ言動を抑え込むのではなく、新型コロナウイルス感染症を題材にすることで、それに起因したいじめや差別を防ぐことを目的としている。