学校施設のバリアフリー化を促進
11面記事障害のある児童生徒の教育環境の充実を
昨年12月、文部科学省は学校施設におけるバリアフリー化を加速するための方策について検討した協力者会議の報告書を公表した。ここでは学校施設のバリアフリー化の現状を示した上で、今後の推進に関する基本的な考え方や計画・設計上の留意点等をまとめた「学校施設バリアフリー化推進指針」の改訂について言及。計画・設計を進めるにあたっては、使いやすく、安全で快適な各室計画となるよう、教室等の計画や、移動しやすい屋内の通路、円滑に利用できる階段、トイレの洋式化、車椅子使用者用トイレ、出入口の整備などに留意するよう求めている。
文部科学省によれば、近年、新築や増築等を実施した一定規模の公立小中学校のうち、エレベーター、多機能トイレ、スロープをすべて整備している施設は約9割となっている。しかし、既存施設や屋内運動場のバリアフリー化の状況は、多様な児童生徒や教職員、保護者、地域の方々が円滑かつ安全・安心して利用する上で十分に整備されているとは言い難い。したがって、報告書では「国は財政支援について制度的な充実を図り、必要な予算の確保を図っていくこと。都道府県においてはバリアフリー化推進のための普及啓発や技術的支援を強化していくこと」を求めている。
バリアフリー化工事の補助率が引上げ
その上で公立小中学校等施設のバリアフリー化を一層推進するため、今後5年間に緊急かつ集中的に整備を行う具体的な目標案を提示。車椅子使用者用トイレを避難所に指定されているすべての学校に整備する。スロープ等による段差解消は全学校に整備する。エレベーターは、要配慮児童生徒等が在籍するすべての学校に整備することを目標として設定した。
障害等の有無にかかわらず、誰もが支障なく学校生活を送る環境を整備するため、すでに第3次補正予算や来年度の概算要求では学校施設のバリアフリー化は国庫補助の対象になっている。しかも、来年度からは補助率が3分の1から2分の1に引上げられる予定だ。これを契機に、全国の自治体には目標年度に向かって計画的な整備を進めることを期待したい。