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コロナ時代に考えたい学校問題【第126回】

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論説・コラム

教育行政に金と権限を

 自分の弱さで…わいせつ事案で処分、教職員の言葉教訓にと報道された。
 教員によるわいせつ案件が止まらない為に教委の苦慮が感じられる。まずは、教員の待遇を改善すべきとする意見や事前に不祥事要素のあるものを排除するなどの意見が寄せられるが、そんなことは教委も十分に承知している。では、何故それが出来ないのか。
 結論からすると、金が動かせず権限が弱いからである。教育委員会は、予算を編成する権限を持たない行政委員会という位置付けである。首長部局での出世を目指し、人と金を減らそうとする者が出てくる。
 こんな発言を耳にしたり、それに応じたりしたことがある。

 議員「教育予算はほとんどが人件費じゃないか。いい加減な教師がいるから困るんだ。教師を増やす必要はない。もっと減らしていい。私達の頃は50人を越える学級ばかりだった」

 財務担当者「何で性格検査をやるんですか、今までもやってないでしょ」
 私「お言葉ですが、県の職員を一人採用するのに掛けている経費は約40万、教員は約8万です。さらに適性検査を県は2種類、教員は1種類です」
 財務担当者「どうしても必要なら課内の予算内でやってください。終わります」

 私「教員採用試験中に以前急死した受験生がいました。訴訟にはなりませんでしたが、今後を考えて保険の予算を欲しいのですが」
 財務担当者「今までも、付けないでやって出来たのでしょ。必要なら課内の予算内でやってください。終わり」

 財務担当者「民間人を面接官にされたようですが、お弁当はいかほどのものを出す予定ですか」
 私「皆さんと同じものを出します」
 財務担当者「貴方方とは違いますよ。一時間に何十万の仕事をする方ですから、失礼でしょ。課内の予算内で考えてください。終わり」

 この嘘のような予算折衝がこの時期に行われている。教員の待遇改善をするのなら、出先の位置付けでなく、首長直結の組織にして金と権限を与える必要があるのではないだろうか。そこまでやろうとする自治体が、今のところ日本には見当たらない。残念。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題